降りしきる雨のなか、第65回大阪杯のゲートが開いた。
1番人気のコントレイルも、2番人気のグランアレグリアも他馬と横並びのいいスタートを切った。
8番枠から出た川田将雅のレイパパレは、ゲートからの1完歩目でやや外にモタれたが、すぐさま川田が軌道を修正。そこから無理に促さなくてもスピードに乗り、正面スタンド前でハナに立った。
「いい返し馬ができたので、この雰囲気ならいい走りをしてくれるだろうと思ってゲートを出ました。馬場的にも、周りの馬的にも、今日はスムーズにハナまで行ってしまうことを選択しました」と川田。
そのまま先頭で1、2コーナーを回り、向正面へと入って行く。
レイパパレが単騎先頭で引っ張る馬群は縦長になった。グランアレグリアはレイパパレから5馬身ほど後ろの5番手、コントレイルはさらに5馬身ほど後ろにいる。
1000m通過は59秒8。重馬場であることを考えると、かなり速い。
「この馬が力みすぎない程度に走った結果がその時計でした」
川田がそう話したように、レイパパレにとっては厳しいラップではなかったようだ。高い絶対能力に加え、重馬場適性もあるのだろう。
3コーナーでコントレイルが動き、外からポジションを上げて行く。4コーナーでグランアレグリアの外に並びかけると、グランアレグリアも加速。2頭が併せ馬の形で進出し、前を行くサリオスと、その前でハナを切るレイパパレをかわしにかかる。
コントレイルとグランアレグリアは一気にレイパパレに並びかけようとするが、差はなかなか縮まらない。
レイパパレは楽な手応えのまま4コーナーを回り、直線入口で馬場のいい外に持ち出した。
「できることなら馬場の真ん中に出したいという思いがあったので、4コーナーで後ろとの距離を確認して、迷惑をかけることなく出すことができました」と川田。
レイパパレはさらに末脚を伸ばす。最内からサリオス、直後からグランアレグリアとコントレイル、外からモズベッロらが追い上げてくるが、差は詰まらない。
レイパパレが2着のモズベッロを4馬身突き放し、無傷の6連勝でGI初制覇を遂げた。
重馬場にしては速い流れを楽に引っ張り、上がり最速タイでまとめてしまうのだから、後ろの馬たちはなすすべがなかった。
GIを制してもなお伸びしろを感じさせる、とてつもないスケールのニューヒロインが誕生した。
(文:島田明宏)