大逃げで福島記念を制したパンサラッサ(撮影:小金井邦祥)
年末の風物詩となっているグランプリレース。2021年の有馬記念が26日の15時25分に発走する。今年はファン投票1・2位に支持されたエフフォーリアとクロノジェネシスのほか、GI馬6頭が参戦。それ以外にもGI好走馬、重賞勝ち馬が多数揃う注目の一戦となった。ここでは、馬場・枠・展開を軸にした王道予想で人気を博す予想家・TARO氏の展望をお届けする。
◆例年にも増して「大逃げ実績のある馬」が揃った
いよいよ迎える有馬記念。年末恒例のグランプリレースは、トリッキーな中山コースゆえに数々の波乱の舞台になってきた歴史があります。そして、常に波乱のポイントになって来たのは、「展開」です。30年前にはアッと驚く14番人気ダイユウサクの追い込みが炸裂したかと思えば、翌年は15番人気メジロパーマーの逃げ切り。今や語り草にもなっている2001年は最低人気アメリカンボスが最内枠から粘り込み、逆に2008年には同じ最低人気でも今度は最後方待機のアドマイヤモナークが直線大外から突っ込んで来たり…。時代は移り変われど、有馬記念の女神が展開によって気まぐれな表情を見せることは昭和でも平成でも、そして令和でも変わりません。
そして、今年は例年にも増して「大逃げ実績のある馬」が揃いました。4年連続出走のキセキは、3年前の有馬記念で逃げたほか、前走のジャパンカップでは大胆なマクリを見せるなどスピードの持続力が武器。タイトルホルダーは、前走の菊花賞で23年前のセイウンスカイの足跡をたどるかのような大胆な逃げを打ち、そのまま押し切り勝ち。伏兵・パンサラッサは過去4勝がすべて4コーナー先頭という生粋の逃げ馬で、前走の福島記念では1000m通過57秒3のハイラップを刻み、そのまま押し切っています。
基本的に逃げ先行争いが激しくなれば、差しが届くのが有馬記念。記憶に新しいところでは2年前、マイルでもハナを奪えるスピードを秘めたアエロリットが外枠から引き離す逃げを打ち、結果スピードが武器のアーモンドアイはガス欠を起こし、直線差し追い込み馬の台頭を許しました。
一方で、キタサンブラックが見せたような後続を幻惑するような緩急自在の逃げを打つと、一転して差しは届かず、先行馬やイン待機組が台頭する傾向があります。キタサンブラックがスローの逃げを打った2015年は3番手追走のゴールドアクターが押し切っています。
今年は逃げ馬が揃ったとはいえ、最もスピードがあると思われるパンサラッサが内枠に入り、一方キセキとタイトルホルダーは8枠という枠配置。スタートが速くないキセキや、ハナに立った方が息が入るタイトルホルダーが途中から絡んで行くのか、それとも内枠から先導するパンサラッサの逃げを黙認しつつ共存を図るのか…。前がやり合うなら差し馬が、譲り合うなら内枠や先行馬が穴になると見ています。週末の各陣営のコメントや馬場状態を見つつ、結論を出したいと思います。
(文=TARO)