4日(土)中京5R新馬戦に出走予定のリアリーホット(4月5日撮影:井内利彰)
日本ダービーが終わると、始まるのが新馬戦。2ヵ月ほど前は「(2歳が着用する)緑ゼッケンが増えてきたなあ」というくらいだったのに、もう出走態勢を整えているのだから、現代競馬の育成技術、調教技術は本当に素晴らしい。
この時期だと、坂路で速い時計を出す馬がいるのは珍しくないのだが、今年はCWでの好時計が目立っているような気がする。自動計測の影響もあると思うが、6Fで80秒台、81秒台を出してくる馬も多い。
阪神最初の新馬、6月4日のマイル戦もレベルの高い一戦となりそうだが、下記で取り上げていないところでも追い切りで目立った動きを見せている馬は多数。その中から1頭挙げれば、マイネルメモリー(栗東・宮徹厩舎)。6F83.0秒と全体時計は標準だが、3F以降が36.7秒、23.2秒、11.8秒は併せた相手の外を回ったことを思えば、高く評価できる数字ではないだろうか。
【6月4日(土) 中京芝1600m】
◆リアリーホット(牝、父ロードカナロア、母ホットチャチャ、栗東・斉藤崇史厩舎)
2021年セレクトセール1歳にて、1億6000万円で落札されたロードカナロア産駒。半兄に2018年菊花賞2着のエタリオウ(父ステイゴールド)がいる。本馬は3月26日のノーザンF早来から栗東へ入厩して、4月1日にはゲート試験を合格。その後、放牧へ出されて、5月7日にノーザンFしがらきから再入厩した。
レースでも騎乗予定の川田将雅騎手が初コンタクトとなった5月18日の坂路では動き自体に物足りなさを感じるところがあったが、5月25日の坂路では4F51.8秒と速い時計をマークしたことに加え、動き自体も非常にしっかりしてきた。いかにもバネのありそうなタイプで、軽い芝が合いそう。
◆スペキオサレジーナ(牝、父ルーラーシップ、母カンデラ、栗東・安田隆行厩舎)
母系には2016年日本ダービーを優勝したマカヒキ(父ディープインパクト)がいる血統。本馬は4月28日にノーザンFしがらきから栗東へ入厩して、ゲート試験合格後も在厩してデビューに向けて調整を進めている。
5月25日にCWで古馬2勝Cのナオミラフィネとの併せ馬。追走はしたものの、並びかけるまで相手に待ってもらい、目一杯に追って、なんとか同入という内容だった。時計は6F83.2秒なので、全体としては標準程度だったが、5月19日のCWでの追い切りからはきっちり時計を詰めている。鞍上はD.レーン騎手が予定されている。
【6月5日(日) 中京芝1400m】
◆メイクザビート(牡、父マインドユアビスケッツ、母カジノブギ、栗東・西園正都厩舎)
半兄には2勝C、3勝Cと連勝し、今週の安田記念にも特別登録しているジャスティンカフェ(父エピファネイア)がいる。本馬は4月8日にゲート試験を合格しているが「ゲートが速いから初戦向き」と西園正都調教師がコメント。その後は一旦放牧に出されており、再入厩の形で調整されている。
5月18日のCWでの併せ馬で古馬3勝Cのロコポルティを追走して先着。この時点で動く馬だという認識だったが、5月25日のCWでは新馬と併せたが、相手が最後の直線でついていけなくなるくらいの脚力。6F80.1秒は素晴らしく速い時計だし、実戦でも「ついてくるならついてこい」くらいの先行力で結果を出しそうなタイプ。鞍上は追い切りにも騎乗した和田竜二騎手が予定されている。
【6月4日(土) 東京芝1600m】
◆エゾダイモン(牡、父ハーツクライ、母メジロツボネ、栗東・武幸四郎厩舎)
半兄には2019年と2021年の香港ヴァーズを優勝しているグローリーヴェイズ(父ディープインパクト)がいる。2021年セレクトセール1歳では、1億6500万円で落札されている。馬主は株式会社サイバーエージェント代表取締役社長の藤田晋氏。
本馬は4月22日にゲート試験を合格。その後も在厩して調整を進めており、5月25日にCWで3頭併せ。レースでも騎乗予定の武豊騎手が跨ったが、真ん中に入れて、そこから抜け出してくるといった内容。6F81.4秒も十分速い時計だが、最後の直線で11.5秒、11.3秒と伸びた動きが素晴らしい。外で古馬が相手をしてくれたとはいえ、こういった動きが実戦での競り合いに活きてくるのではないだろうか。
(取材・文:井内利彰)