2枠3番から自らのスタイルを貫くパンサラッサ(撮影・石湯恒介)
「天皇賞(秋)・G1」(30日、東京)
主導権争いが注目を集める今年の秋盾。ただ、
パンサラッサ陣営はハナを譲る気など毛頭ない。2枠3番から果敢に飛び出し、自らの
スタイルを貫くだけ。35年ぶりとなる“逃走V”へ突き進む。また、唯一の木曜追いとなった
ダノンベルーガは27日、美浦Wで気持ち良さそうにス
トライドを伸ばし、万全の態勢をアピールした。
問答無用の逃げの
スタイルで覚醒-。世界の頂点まで上り詰めた
パンサラッサは、2枠3番からのスタートに決まった。逃げの手を打つには絶好枠。ただ、「また内か。真ん中ぐらいが良かったかな」とは矢作師。近2戦で行き脚が鈍っていたことを懸念してか、少し落胆した様子だ。
それでも舞台は、スタート直後にコーナーを迎えるため、内枠が断然有利とされる東京芝2000メートル。「府中の二千だから内で良しとしないとね」とすぐに気持ちを切り替え、「この並びだと、余計に出していくことになるかな」とハイペースの逃げを想定した。
しかし、同型のラ
イバルから主導権を握ったとしても、次に立ちはだかるのは厚い歴史の壁だ。秋の盾を逃げ切るのは至難の業。距離が2000メートルに短縮された84年以降、逃げて勝利をつかんだ馬はただ1頭、87年のニッポーテイオーだけだ。厳密には91年にハナを切ったプレクラスニーが優勝しているが、これは1位入線したメジロマックイーンが降着となったため。
パンサラッサが逃げて勝てば、35年ぶりの快挙だ。
札幌記念2着後は、ここに目標を定めて仕上がりは良好。追い切り翌日の木曜は、引き運動で体をほぐした。「追い切り後も状態は変わらないよ。自分の競馬に徹して、応援してくれるファンの皆さんが望む結果を出したい」。ファンはもちろん、誰より矢作師自身が、ワクワクするような競馬を期待している。