3頭併せで十分に負荷をかけられたタイトルホルダー(左)=撮影・三好信也
「有馬記念・G1」(25日、中山)
ファン投票1位の
タイトルホルダーが21日、美浦WでG1・3勝馬の貫禄を誇示。僚馬2頭相手に文句なしのパフォーマンスを見せた。大外枠の不利もあった昨年は5着。今年は惨敗を喫した凱旋門賞からの立て直しが注目されるが、主戦・横山和、栗田師ともに好仕上がりに納得の表情。
クリスマス決戦に向け、視界はすこぶる良好だ。
寒空からのぞく穏やかな日の光を浴びながら、
タイトルホルダーがゆったりと美浦Wの3角から4角へ。外
タイセイラプソディ(2歳未勝利)、中
アンクルコンシャス(2歳新馬)を相手に抜群の手応えで直線に入ると、懸命に追いすがるタイセイを余裕の脚色で半馬身振り切り、6F85秒7-36秒9-11秒6のタイムで
フィニッシュラインを駆け抜けた。
1週前追いを終えた直後、「Wが乾いていて、走りづらそうなのもあったけど、ラスト100メートルの躍動感がもう少し」と注文をつけていた横山和だが、最終リハ後には「その点も含めて最終確認のイメージで乗りました。先週感じたものや、厩舎の方たちが感じたことをすり合わせつつ、ちょっとした動作一つ一つを見ながら。特に不安材料もなく来られたのが何より」と安どの笑みに変わっていた。
極悪馬場に泣いた凱旋門賞。それでも果敢に逃げて見せ場はつくった。そこからの立て直しが注目される帰国初戦は、主戦にとっても、スタッフにとっても初めての経験。中間は頻繁に厩舎へ通い、密にコミュニケーションを取りながら慎重に調整を重ねてきた。
菊花賞Vから挑んだ昨年は5着。今年は凱旋門賞こそ敗れたが、日経賞、天皇賞・春、宝塚記念と国内3戦3勝だ。いずれも逃げ、先行策で圧倒的な強さを誇ってきた。今回も同様に正攻法かと問われた鞍上は、「何が正攻法かは分からないが、
タイトルホルダーらしい競馬ができれば。素晴らしいメンバーだけど、
タイトルホルダーだけ見て競馬をするつもり。他のことに気を取られることなく集中したい」と言い切った。
史上最多となる36万8304票の支持を受けて臨む
クリスマス決戦。主戦は「たくさんの応援を頂いて、そんな馬に続けて乗せていただけるのは、ジョッキーとして幸せに思っています」と声を弾ませ、こう続けた。「今年も素晴らしい一年でした。まだまだ満足していないけど、いい経験をさせてもらって、感謝の気持ちでいっぱい。もっともっといい一年だったと言えるように、
タイトルホルダーとリズム良く、楽しく走ってきたい」。ファンの声援を力に変え、栄光のゴールを駆け抜ける。