栗東の調教スタンドで元気な声で談笑する姿を見られるのも残り数日となった。南井克巳調教師は「さみしいね。いつも、ここでみんなと話していたから」と第一声。「みーさん」の愛称で親しまれ、仲間と競馬談義や、時にくだらない話に花を咲かせるのが好きだった。
騎手時代はナリタブライアンでの3冠(94年)などG1・16勝を含む1527勝という成績を残し、00年3月に調教師に転身。「僕は乗ることしかなくて、馬の世話をやったことがなかった。引退後すぐに厩舎を運営することになり、好き勝手にやってこられたのは従業員のみなさんのおかげ」と感謝の言葉を口にした。思い出の馬は重賞を勝った
タマモホットプレイ(スワンS、
シルクロードS)、
タマモベストプレイ(きさらぎ賞)などのきょうだいだ。「オーナーに選ばせてもらった馬。いい子を出してくれた」と感慨深い表情を見せる。
ウマ娘にも登場するナリタブライアンの主戦を務め、昨今の競馬ブームに大きく貢献した南井師。「今後のことは何も考えていません。競馬はファンがいてこそ盛り上がる。常にいい方向に行ってくれれば」と穏やかに話した。(玉木 宏征)
◆南井 克巳(みない・かつみ)1953年1月17日、愛知県生まれ。70歳。00年に栗東で開業。71年に騎手デビューし、JRA通算1万3120戦1527勝。重賞はG1・16勝を含む77勝。00年3月に開業し、JRA通算5903戦446勝。重賞は00年ジャパンCダート(ウイングアロー)のG1・1勝を含む13勝。