本格化したスティールペガサスが中央勢撃破へ(撮影:田中哲実)
NARによる全日本的なダート競走の体系整備の一環で、来年度からこの北海道スプリントカップは時期を8月中旬に移し、3歳限定戦として生まれ変わることが決まっている。いずれまた見直しの可能性もあるだろうが、現行の条件で行われるのは今年で最後となる見込みだ。
中央勢優勢の条件下でも、ホッカイドウ競馬所属馬として古くはオースミダイナーが、最近ではメイショウアイアンが、それぞれ13歳、10歳で勝利するなど、歴史的なハイライトを刻んできた重賞である。一区切りを迎える今年のレースを目に焼き付けつつ、来年度からの若駒同士の熱戦を楽しみにしたい。
今年はJRAからいずれもスピード自慢の4頭が集まったが、なかでも支持を集めそうなのは、昨年覇者のダンシングプリンスだろうか。サウジのリヤドダートスプリントからの臨戦は昨年同様で、鞍上も昨年に続き、地元の落合玄太Jが起用された。決して本調子ではなかったなかでの昨年の勝利は評価すべきで、その秋にはJBCスプリントで頂点を極めたのだから、実力は折り紙付きである。
ただ、昨年のこのレースに関しては、労せず逃げられたというのも確か。同じく中央から参戦するジャスティン、3歳で斤量利を生かしたい地元の快速馬スペシャルエックスがいる今年のメンバーで、自分の形に持ち込めるかが焦点だ。加えて、自身は昨年より2kg増の59kgを背負うことになる。
これらを踏まえると、激しい先行争いから一歩引いて競馬ができるであろうケイアイドリー、アイオライトに分があるのではと筆者は考えている。
迎え撃つ地元勢、その大将は、まさに充実一途を辿るスティールペガサスだ。今季初戦のエトワール賞は58kgを背負っての完勝で、もはや地元に敵はいないといっても過言ではない。昨年は5着だったが、その時はまだ本格化前の段階。中央勢の壁が分厚いのは百も承知だが、勢いのある今年は、互角の戦いができるのではなかろうか。地元記者としては、期待を持たずにはいられない。
(文:競馬ブック・板垣祐介)