武豊が騎乗し、リズム良くCWコースを駆け抜けるジャックドール
初マイル攻略のイメージが出来上がった。「第73回安田記念」は31日、出走予定馬が東西トレセンで追い切り、大阪杯Vから2F短縮で2階級G1制覇を期す
ジャックドールは栗東CWコースで圧巻のパフォーマンス。直線、馬なりでグイグイ伸びて好仕上がりを印象づけた。
完璧なまでにマイル仕様へとモデル
チェンジ!
ジャックドールに新たに備わった武器が瞬発力。それを如実に示す最終リハだった。CWコース併せ馬で折り合いを確認し、前に馬を置いた
ジャックドールはスムーズな追走。圧巻だったのは4角から先導役
ダークモード(3歳未勝利)をパスする急加速ぶりで、まるでギュンと音でも聞こえるかのようなすさまじさだ。5F66秒3〜1F11秒2と、しまいの時計に集約されている。
武豊は「早めに前に出る形になったけど非常にいい動き。単純に最終追い切りの感触を言うと(大阪杯より)今回の方がいい」と絶好調をPR。併せた相手は戦意喪失?10馬身以上も置き去りにしたことに藤岡師は「“単走”で、あれだけ楽々と、いい動きなら仕上がりは文句なし」と併せ馬を単走と言い換えてしまうほどだった。
2000メートルの王者がその後にマイルの頂点を極めるのは意外なまでにハードルが高い。象徴的な成功例がダイワメジャー(04年皐月賞、06年天皇賞・秋、マイルCSなどG1・5勝)だから時代に名を刻む名馬でないと成し遂げられない偉業なのだ。武豊は2F短縮に「初めてというより通過している距離」と、さすが言葉遣いの魔術師。「(
ジャックドールの)今までのレースと過去の安田記念における前半のラップを比べても1〜2秒は違う。千六なりの乗り方をするが、
スタイルを崩す気はないし、そのあたりは
バランスを取って乗る」と
スピード負けせぬ自信をのぞかせた。
指揮官は父がマイルと2000メートルでG1・6勝の
モーリスで、
ジャックドール自身もマイラー体形だと伝えた上で「元々、
スピードのある馬だが、さらに
スピードに対応するため筋力と瞬発力が必要。今までと調教パターンを変えている」と工夫を凝らしたことを明かしている。絶頂期にいながら現状に満足せず、
トライする勇気。打破してこそ称賛の嵐が待っている。