◆第30回函館スプリントS・G3(6月11日、函館・芝1200メートル、良)
     横山兄弟が11日、
グレード制導入後2組目の同日重賞勝利を成し遂げた。23年サマーシリーズ開幕戦の第30回函館スプリントS・G3は横山武史騎手(24)=美浦・鈴木伸厩舎=が
キミワクイーンで制覇。直後の第40回
エプソムC・G3(東京)では、兄の和生騎手(30)=美浦・フリー=がテン乗りの
ジャスティンカフェでタイトル奪取。ともに騎乗馬を初の重賞制覇に導き、横山武から「横山兄弟最強だわ!」の一言が飛び出した。
     名手のエスコートで“女王”がターフを切り裂いた。
キミワクイーンは好スタートを決めたが、横山武が選択したのはいつもの先行策ではなく、後方待機だった。直線入り口10番手から、上がり最速となる34秒4の末脚で差し切り。前有利な開幕週の思い切った騎乗には、3年連続当地リーディングの貫禄すら漂わせた。「外枠で立ち回りがどうかと思ったけど、ペースが流れてくれたし、外を回っても我慢してくれた。最後はいつも通りいい脚を使ってくれました」。会心の手綱に笑みがこぼれた。
     もちろん、馬自身の成長も大きい。奥村武調教師は「想像していた展開とは違ったけど、流れが速かったし好判断でした」と鞍上のタクトを称賛しつつ、5度目の重賞挑戦で初戴冠を果たした愛馬に「あんな脚を使うとは。何度も壁にはね返されてきたけど、芯が入って強くなりました」と目を細めた。次走はキーンランドC(8月27日、札幌)を予定。馬名通り、夏の短距離女王の称号をつかみにいく。
     「幼い頃からよく北海道は来ていたので、第二の地元のようなもの。重賞を勝ててうれしいです」。重賞17勝目にして北の大地では初勝利となった横山武の声には、いつも以上のうれしさがあふれていた。兄・和生の
エプソムC勝利には「よっしゃあ! 横山兄弟最強だわ!」と絶叫。開幕週は土日で早々と最多の6勝を挙げ、4年連続の開催リーディングへ好スタートを切った。(角田 晨)
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キミワクイーン 父
ロードカナロア、母チェリーペトルズ(父ダイワメジャー)。美浦・奥村武厩舎所属の牝4歳。北海道安平町・追分
ファームの生産。通算11戦5勝。総獲得賞金は1億852万3000円。重賞初勝利。馬主は浦辺輝実氏。