【POG】大盛況!セレクトセールに行ってきました(美浦発)

2023年07月15日 13:31

 5億2000万円で落札されたコントレイル産駒のコンヴィクション2の23

 競馬新聞「馬サブロー」が誇るPOGマスター、木村拓人(美浦)と塩手智彦(栗東)がお送りするPOG情報。東西のトレセンでつかんだ情報をお伝えします。

 今年は例年にも増して浮世離れな感覚を味わわせてもらったセレクトセール。5億円ホースの誕生や、スタートから連続4頭が1億超えした1歳セールなど、庶民にはついて行けない世界となっていました。でも、いつからなんでしょうかね。以前は1億を超えた落札時には会場から拍手が生まれていたのですが、今はなくなりました。億を超えてすごい!ということと、そのセリに参加した人たちに敬意を表するという意味だったのかと思われますが、あの会場の一体感は好きだったんですけどね。今はどことなく他人行儀。価格に驚いているのは周りの人間だけで「あっ!3億なの?ふーん」みたいな空気が少し寂しく思います(あくまで個人の感想です)。セリ自体は大盛況ではありますし、それでいいのかもしれませんけどね。

 あとは昔から3000〜7000万円くらいの予算で楽しまれていた馬主さんたちがなかなか買えずに大変だという話も耳にしました。今は賞金や手当が拡充されているとはいえ、競馬で得られるお金はそこまで大きく変わってはいません。最上位クラスの賞金は上がっているのですが、そこに到達するのは並大抵のことではありませんからね。それを考えれば馬の価格だけが青天井のように上がっている今の状況はアンバランスにも思えます。いい血統の高い馬を買えば勝てるという世界ではないことは歴史が証明していますし、例えば先日、南関東3冠を達成したミックファイアはサマーセールで500万円で取引された馬。派手な価格が出ると話題になりますし注目も集めますが、こういう活躍馬がいるということも競馬ですよね。

 さて今週で函館開催が終了。来週から札幌開催となり、筆者は灼熱の関東に帰還となります。心の底から憂鬱(ゆううつ)で仕方ないのですが、帰ったら帰ったですぐに慣れてしまうんですよね。家族に会えることを楽しみにして最終週の函館競馬を全うしたいと思います。

 先週は函館新馬戦でなかなか衝撃的な勝ち方をした馬がいました。レガレイラ(牝、木村、父スワーヴリチャード、母ロカ)はセットアップ(牡、鹿戸、父デクラレーションオブウォー、母スリーアロー)が完全に逃げ切る態勢だったところを1頭だけ違う脚色で伸びてきての完勝。これは強かったですね。師はレース後に「ゲートの中のテンションがね。まだまだこれからだよ」と慎重な姿勢を崩しませんでしたが、この内容を見たら期待せずにはいられません。次走は未定ですが、夏場は無理せず秋から始動する予定とサンデーレーシングのHPで発表がありました。楽しみです。

 木村厩舎ではカンティアーモ(牝、父エピファネイア、母リビアーモ)が美浦に帰厩して30日の新潟芝1800mでのデビューを予定しています。体のラインが非常にシャープな馬ですが、母の産駒はそういうタイプが多く、おそらく血統的なもの。新潟外回りも合いそうですし、どんな走りを見せてくれるか楽しみです。そして今週日曜の函館芝1800mにはベランジェール(牝、父モーリス、母キャリコ)がスタンバイ。注目馬ぞろいの木村厩舎が函館新馬戦を連勝となるのか注目です。

 さてセレクトセールについてですが、個別の馬の評価はしづらいので、全体的な感想を-。まずはキタサンブラック産駒の評価が非常に高いということ。歩きを見ていても伸びやかでしなやかな馬が多く、やはり目を引きますね。以前はもっと馬体が薄くてひょろっとした馬が多く感じたのですが、また少し印象が変わってきましたかね。1歳世代は種付け頭数が少ないということもあってセリも活発でしたが、当歳からは産駒数が格段に増加。これからの種牡馬界はキタサンブラックを中心に回るのかと思いきや、それを上回る勢いでセールをにぎわしたのは3冠馬コントレイルでした。もともと産駒の評判が非常に高いとは聞いていましたが、実際に馬を見てみるとやはり見栄えがします。ディープインパクト産駒は見栄えのする馬が少なかったのですが、コントレイルはよりスピード色が強いせいか、パッと見ていい馬というのが多かったですね。それでいて硬さもあまり感じられませんので、これは評判通り成功しそうな気はします。それとノースヒルズの前田オーナーのコントレイル愛がすごかった。キズナの時もそうでしたが、多少お金を積んででも自分の所有馬にして走らせるという気概が感じられました。注目を集めた5億円ホースもそうでしたし、それ以外にもコントレイル産駒を多数落札。これで市場価値も高まりますので、結果コントレイルにいい花嫁が集まりやすくなりますからね。これも一つのビジネスモデルかもしれません。

 あと目についたのはナダル産駒。ナダル自身が超がつく巨漢馬なので、どんなごつい産駒がそろうのかと思いましたが、案外バランスのいい馬が多かったように思います。今年の1歳世代が初年度となりますが、あまり勝手なイメージは持たずに産駒の走りを見てみたいですね。

 それと当歳ではゴールドドリーム産駒が面白いと感じました。決して多くは上場されませんでしたが、おっと思わせる馬が多かったように思います。どちらかと言えばリーズナブルな種牡馬ですし、これから一口馬主を検討する方には少し注目していただければと思います。(馬サブロー美浦支局・木村)

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