ウッドチップコースで追い切るモリアーナ(撮影・郡司修)
もう攻める必要もない。紫苑Sで重賞初Vを飾った
モリアーナが超抜気配だ。Wコースで単走の最終リハ。体全体を大きく使って、内めを単走でゆったり進んだ。最後だけ軽く仕掛けた程度で機敏にビュ〜ン。6F82秒6〜1F11秒4。秋の日差しに明るい鹿毛の体は
ピカピカに輝いている。
「14年ぶりの記者会見です!!」武藤師の飛びっきりの笑顔が全てを語っていた。09年日本ダービー(
マッハヴェロシティ)以来の共同会見。「先週の時点である程度仕上がったので、今日は単走で息を整えながら折り合いをつける感じ。タイムは速いくらいになっちゃったけど、それだけ具合がいいんでしょう。紫苑Sから5週間あったので余裕を持って調整できた」
秋初戦の紫苑Sは後方から突き抜ける仰天V。昨夏8月の札幌
コスモス賞1着以来、約1年ぶりの白星で底力を再確認させた。指揮官は「正直、開幕週であの後方。馬群をこじあけ、あっぱれでした。派手なパフォーマンスをするジョッキー(横山典)ですが、NHKマイルCで感覚や個性をつかんでくれたから、あれだけのパフォーマンスだったと思う」と騎手時代の86年に同期デビューを飾った巧腕を称賛した。
騎手時代も含め、悲願G1初制覇が懸かる。「騎手として15年、調教師として21年。36年間やっても届かないG1ですけど、G1に有力馬の1頭として挑めるのは
モリアーナが開業以来初めて。“風の女神”(馬名の由来)を味方につけて先頭でゴールを駆け抜けてほしいと思います」と目を輝かせ、京都G1完全制覇が懸かる横山典にバトンを渡した。