コスモバルク記念に出走予定のベルピット(撮影:田中哲実)
今シーズンのホッカイドウ競馬が開幕して3週が過ぎた。全国に先駆けて、2歳新馬戦もすでに数多く行われており、1100mのレコードタイムを更新したベストグリーンなど、インパクトある大物も現れている。この先の重賞戦線が非常に楽しみだ。
さて、今週行われるのは、中距離重賞コスモバルク記念。昨年、ここから道営記念まで無傷の重賞5連勝で絶対王者となったベルピットが出走する。もはや地元に敵なしと思われたのだが、なんと今シーズン初戦の特別戦でよもやの2着に敗れた。このレースをどう捉えるべきだろうか。
ベルピットにとっての誤算は、序盤の位置取り。パッションクライとヒストリーメイカーの先行2頭が後続を10馬身ほど離して進んだが、かなり時計の出やすい重馬場で1000m通過は61秒5と、決してハイペースではなかった。その離れた馬群にポジションを定めてしまったことで、結果的に前を残してしまった格好である。レース中に一層濃くなった霧が、距離感覚を狂わせたのも確かだろう。
勝ったパッションクライは、北海優駿を優勝した現4歳世代のトップホースであり、もちろん、この馬の強靭な先行力と年をまたいでの成長力は大いに評価すべきだ。ただ、ベルピット自身、走れる決着タイム内で負けたのだから、全能力を発揮できたわけではない。昨年の連勝時のように、4角で先頭に並びかけてねじ伏せる形を取れれば、今度は取りこぼさないだろう。
とはいえ、絶対王者にも隙が見え、ライバルたちはにわかに活気づいている。もちろんその筆頭は、昨年の道営記念でベルピットと壮絶な叩き合いを演じたアナザートゥルース。逆転の手応えはすでに掴んでいるはずである。
また、仮に前走のベルピットが、位置を誤ったのではなく、位置を上げられなかった、つまり、反応自体がまだ昨年レベルにはないのだとしたら、再び前を捕まえきれないケースも考えうる。そこで、転入馬アンタンスルフレにも金星の可能性が生まれるのではなかろうか。地力はここでも通用する器だ。
ベルピットがすぐさま挽回して政権を固守できるかどうか、今シーズンを占う上で重要な一戦である。
(文:競馬ブック・板垣祐介)
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