「日本ダービー・G1」(1日、東京)
1番人気の
クロワデュノールが鮮やかに抜け出し、22年に生を受けた7950頭の頂点へと輝いた。
クロノジェネシスで20年春秋
グランプリ制覇を果たしたデビュー20年目の北村友一騎手(38)=栗東・フリー、斉藤崇史調教師(42)=栗東=のコンビはこれが初のダービー制覇。2着は3番人気の
マスカレードボールで、3着には6番人気の
ショウヘイが入り、皐月賞馬で2番人気の
ミュージアムマイルは6着に敗れた。
皐月賞の無念を晴らし、見事にダービートレーナーの称号を手にした。残り300メートル。満を持して
クロワデュノールが先頭に立つのを見た斉藤崇師は、同じ形で最後に差された皐月賞の悪夢がよぎった。しかし、それは一瞬。持続する末脚にVを確信すると、「もう大丈夫」。安堵(あんど)の表情で、ダービー馬になる瞬間を見届けた。
「もう本当に良かったです。ホッとしたというのが第一です」。皐月賞に続いて今回も1番人気。前走では期待に応えられなかったのに引き続き主役に推してくれたファンのためにも、連敗するわけにはいかなかった。
皐月賞より状態は良かったが、パドックの段階でさらに自信は深まった。「これだけのお客さんがいたのに落ち着いていましたし、馬の精神力が強い。何の不安もないと思いました」。祭典ムードに気後れせず、堂々と周回する姿は、師に安心感を植え付けた。
競馬もリズム良く先行して押し切る横綱相撲。「楽にいい所が取れたし、いい展開にハマッてくれました。こうやってダービーを勝って、世代の頂点を証明できて良かった」と責任を果たし、胸をなで下ろした。
4度目のダービー挑戦で初制覇。最初に出走したのは20年で
マンオブスピリットを送り出して16着だったが、鞍上は北村友だった。「あの時は成績を残せなかったし、その後もいろいろあった上で、北村さんと勝てたのはうれしい」。このコンビといえば、G1・4勝馬
クロノジェネシスの名前が挙がるが、
クロワデュノールならその名牝を超える可能性も十分。既に凱旋門賞・G1(10月5日・仏パリロンシャン)にも登録するなど、今後は国内外の大舞台を視野に入れる。「もっともっと良くなる馬だと思っています」。晴れてダービートレーナーとなった斉藤崇師は、愛馬とともに新たな栄冠を目指す。