函館SSに出走予定のナムラクレア(c)netkeiba
夏の北海道シリーズ開幕を告げる伝統のスプリント重賞、函館スプリントステークス。洋芝の函館競馬場芝1200mが舞台となり、スピードだけでなくパワーも問われる一戦だ。今年もスプリント路線の実績馬から、勢いに乗る上がり馬まで多彩なメンバーが顔を揃え、激戦は必至の情勢となった。
1.若い世代が中心、ベテラン勢は苦戦傾向
過去10年の馬齢別成績を分析すると、3歳馬が[3-2-1-12]で複勝率33.3%、4歳馬が[3-1-5-19]で複勝率32.1%と、若い世代が非常に高い好走率を誇っている。レースの中心を担っているのは間違いなく若い力だ。一方で、キャリアを重ねたベテラン勢は苦戦傾向にあり、6歳馬は[0-3-0-24]で複勝率11.1%、8歳馬に至っては[0-0-0-8]と一度も馬券に絡めていない。今年もフレッシュな世代を中心に馬券戦略を組み立てるのが賢明と言えるだろう。
2.前走で掲示板を確保した惜敗馬に妙味
過去10年の前走着順別データを見ると、意外な傾向が浮かび上がる。前走で3着だった馬は[3-1-1-4]で複勝率55.6%と驚異的な成績を残しており、単勝回収率も140%と馬券的な妙味も十分だ。同様に前走2着馬も複勝率50.0%と好成績を収めている。対照的に、前走で1着だった馬は[2-2-3-20]で複勝率25.9%と、勢いに反して信頼度はそこまで高くない。前走で勝ち切るには至らなかったものの、掲示板を確保した馬の巻き返しに注意すべきだろう。
3.距離短縮で臨むローテーションが有利
臨戦過程に目を向けると、前走から距離を短縮してくる組が[4-4-5-37]で複勝率26.0%、さらに複勝回収率114%と優秀な成績を収めている。スタミナを問われる洋芝で、マイルや1400mといった距離を使われてきたことが優位に働くようだ。これに対し、前走も同距離の1200mを使われていた馬は[5-5-5-71]で複勝率17.4%、複勝回収率も49%と、馬券に絡む数は多いものの率としては振るわない。どのローテーションで臨んできたかは、予想の上で重要なファクターとなる。
ナムラクレアは、前走のGI・高松宮記念で2着と、現役トップクラスのスプリント能力を改めて証明した。2022年の当レース覇者でもあり、函館コースへの適性も疑いようがない。今回は相手関係も楽になり、斤量面でも恵まれた印象だ。データ的にも前走2着馬は複勝率50.0%と信頼できる。6歳という馬齢データは若干気になるものの、それを補って余りある実績と状態の良さで、ここは不動の中心と評価した。