近年、JRAでは6月の新馬戦でデビュー勝ちを決めた馬の活躍が多く見られる。今年の日本ダービーを勝ったクロワデュノールをはじめ、のちにGI馬となるジオグリフ、セリフォス、サリオスなどがそうで、新馬戦は開幕の6月から目が離せない。
それよりひと足早く新馬戦がスタートするのは佐賀競馬。今年最初の新馬戦は5月17日に行われ、リネンウォーリアが世代一番星に名乗りを上げた。
さらに5月31日には九州産限定の2歳新馬戦が行われた。佐賀競馬は九州で唯一生き残った地方競馬場で、霧島賞やたんぽぽ賞など、かつては中津競馬場(大分県)や荒尾競馬場(熊本県)で行われていた九州産限定の重賞を受け継いでいる。昨年はJBC当日に2024九州産グランプリが行われるなど、注目を集める九州産馬。今年はさらに注目だ。
その理由は、九州産限定2歳新馬戦を勝ったカシノロイに詰まっている。
同馬は昨年の九州1歳市場で350万円(税抜き)で柏木務オーナーによって落札された馬。生産は本田土寿氏で、2021年北九州記念を勝ったヨカヨカや、23年と24年の中山グランドジャンプを連覇したイロゴトシの生産者としても知られる。近年は阿蘇に分場「高森ヒルズ」を作っており、カシノロイは当歳の離乳前から阿蘇で過ごしてきた。標高は約800mある地で、ヨカヨカやイロゴトシが過ごした熊本市内の本場よりも放牧地は広大。
「運動量が格段に上がっていて、たくさん動いているだけあってトモのハリや肩の出が違ってきました」
本田氏は昨年のセリの際、そう手応えを感じていた。そして、こう続けたのだ。
「当歳馬を高森ヒルズで育成した第一期生がこの世代。どんな結果が出るのかが一番の楽しみです」
その期待通り、新馬戦を勝ったことに加え、不良馬場だった新馬開幕戦より0秒1速い勝ちタイムだった。飛田愛斗騎手は「能検ではあまりスタートが出ませんでしたが、レースでは上手に出てくれてよかったです。大人しくていい子。これから九州産馬として一緒に頑張っていきたい」と話した。
奇しくも飛田騎手も熊本県出身で同じ“九州産”。
7月19日にはJRA小倉競馬場でひまわり賞(九州産限定)が組まれており、カシノロイや他の九州産馬が佐賀競馬から参戦する可能性もあり、目が離せない。
こうして2歳戦が本格化していく佐賀競馬。一方で、古馬戦線も盛り上がりを見せる。
今年初の試みとして、重賞・吉野ヶ里記念(7月19日、3歳以上、ダート1400m)のファン投票を実施。夏の短距離王を決める一戦で、1着馬と2着馬にはサマーチャンピオンJpnIIIへの優先出走権が与えられる。ファン投票は今週22日23時59分まで。ぜひご投票を。
(文・大恵陽子)
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