人気薄の重賞制覇は数多くあるが、18番人気以下での勝利は稀だ。重賞に限ると、21世紀になって以降では1回のみ。今回はその一戦、単勝163.0倍の最低人気だった
メイケイダイハードが勝った20年の中京記念を振り返る。
この年の中京記念はハンデ戦らしい混戦模様だった。1番人気の
ギルデッドミラーは3歳牝馬、2番人気の
ソーグリッタリングは重賞未勝利馬で、信頼感はイマイチ。一方、3番人気の
ケイアイノーテックはNHKマイルCの勝ち馬ながら、勝利からは2年以上遠ざかっていた。そんな中、単勝163.0倍の18番人気だったのが
メイケイダイハード。ただ、近5戦連続で2桁着順という近況をみれば、この低評価も致し方ないところだった。
レースは4番人気の
トロワゼトワルが逃げた。好位に
ギルデッドミラーが付けて、その後ろに
ソーグリッタリング。前半1000mは57秒5のハイペースだ。迎えた直線、厳しい流れを追いかけた先行勢の脚色が鈍くなる。かわって残り200mで先頭に立ったのが、3〜4角でジワッと進出した
メイケイダイハードだった。幾らか強気なレース運びではあったが、53kgの軽量を味方につけて粘りに粘る。最後は外から
ラセットと
ケイアイノーテック、内から
エントシャイデンが追い上げてきたものの、それらを凌いで先頭でゴール。多くのファンを驚かせるタイトル奪取を果たした。
この勝利は、86年以降では3回目となる単勝18番人気以下の重賞制覇だった。
メイケイダイハードはその後、一度も勝利を挙げることがなかったが、一世一代の走りによって、記憶にも記録にも残る馬となったのだった。
【JRA重賞を18番人気以下で勝利した馬】86年以降
・86年金鯱賞…
イズミスター(21頭立て18番人気)
・89年エリザベス女王杯…
サンドピアリス(20頭立て20番人気)
・20年中京記念…
メイケイダイハード(18頭立て18番人気)