タイキシャトル(写真は98年マイルCS、撮影:高橋正和)
8月17日に仏・
ドーヴィル競馬場で行われるジャックルマロワ賞は、100年以上の歴史がある伝統の一戦だ。今年は日本馬が2頭参戦予定だが、27年前の覇者がタイキシャトルである。初の海外遠征、初の直線競馬などを乗り越え、日本調教馬として2頭目の海外G1制覇を果たした一戦を振り返る。
この年のジャックルマロワ賞は8頭と少頭数ながら、G1勝ち馬が集っていた。アマングメン(
Among Men)はサセックスS、ケープクロス(Cape Cross)はロッキンジS、
レンドアハンド(Lend a Hand)は伊グランクリテリウムの覇者。そんな中、タイキシャトルは堂々の1番人気に推された。
最もスタンドに近い1番枠から好スタートを決めたタイキシャトル。道中は押し出されるように逃げたケープクロスを斜め前に見る形で、手応え良く運んだ。各馬がけん制し合う感じで、かなりのスローになった。残り400m付近でようやくペースアップすると、タイキシャトルの岡部幸雄騎手は左ムチを入れてスパート。粘り込みを図るケープクロス&L.デットーリ騎手を何とか競り落とすと、内から迫ってきたアマングメン&M.キネーン騎手も何とかしのぎ、先頭でゴール。前週に
モーリスドゲスト賞を制した
シーキングザパールに続き、日本調教馬として2頭目の海外G1制覇を達成した。
この後は海外転戦も計画されたタイキシャトルだったが、関係者が協議の上で帰国。秋には史上3頭目のマイルCS連覇を成し遂げた。そして引退後の翌99年には史上25頭目の顕彰馬に選出され、歴史的な名マイラーとして名を残すこととなった。