先週は2歳オープンが2レース行われた。今年は阪神芝1600mで行われた野路菊Sは福島芝1800mの新馬戦を勝った
アランカール(栗東・斉藤崇史厩舎)が単勝1.8倍の支持に応えて完勝。同じ舞台で行われる2歳牝馬のGI、阪神JF(12月14日)に向けて視界良好な結果となったのではないだろうか。
中山芝1200mのカンナSは単勝28.9倍の
ウチュウノセカイ(美浦・青木孝文厩舎)。父
タワーオブロンドンが2019年のスプリンターズS、母父
ローレルゲレイロが2009年のスプリンターズSを勝っていると思うと、血統の奥深さを思い知らされる。
【9月27日(土) 阪神芝1600m(牝)】
◆
ハッピーローヴァー(牝、父
リアルスティール、母アーズローヴァー、栗東・渡辺薫彦厩舎)
母系に京都大賞典、ステイヤーズSと重賞2勝の
シュヴァリエローズ(父ディープインパクト)や芝1200mで5勝を挙げた
ジュビリーヘッド(父
ロードカナロア)がいる血統。
先々週までは目立った時計をマークしていなかったものの、1週前のCW追い切りが秀逸。新馬と古馬1勝クラスとの3頭併せを真ん中のポジションで走り、ゴールでは最先着。時計は6F81.9秒、3F36.2秒、1F11.4秒と申し分ない。騎乗した渡辺薫彦調教師は「追えば追うほど伸びそうな感じ」と手応えを掴んでいて、レースでの走りが楽しみ。鞍上は武豊騎手が予定されている。
◆
ポエティックデール(牝、父
ポエティックフレア、母インヘリットデール、栗東・高野友和厩舎)
母系には今年のレッド
シーターフHを勝ち、先日のフォワ賞も勝ち、現在は凱旋門賞へ向けて調整中の
ビザンチンドリーム(父
エピファネイア)がいる血統。
本馬は4月17日に栗東へ入厩、25日にはゲート試験に合格して、その後はノーザンFしがらきで調整。8月30日に栗東へ帰厩してから、坂路での追い切りを積み重ねている。高野友和厩舎らしく、4F時計は目立たないものの、ラスト1Fが11.8秒を踏んだのが先週。栗東へ戻る前の馬体重が540キロ台だったので、見映えする牝馬であることは間違いないが、あとは中身がどこまで出来てきているかだろう。
【9月27日(土) 阪神芝2000m】
◆
クラウンインジエア(牡、父
モーリス、母ラヴァリーノ、栗東・藤岡健一厩舎)
全兄には藤岡健一厩舎で管理され、2023年大阪杯でGIを制した
ジャックドールがいる。「兄は2歳12月デビューでGIを勝ったのは5歳。まだまだこれからというタイプではあると思いますが、兄同様、素質の高さは感じます」と藤岡健一調教師。
そんな素質の高さを確信させてくれたのが、9月18日のCW追い切り。オールカマーに出走予定の
ワイドエンペラーとの併せ馬。高杉吏麒騎手が跨って、先行する内容ではあったが、最後の直線に向いて並びかけていた時にしっかりと反応して、追い抜かれる雰囲気が全くない。むしろ手応え的にはこちらが優勢かなという感じでゴール。6F83.1秒、3F36.7秒、1F11.3秒。この日初めてCWへ入場した馬がマークする時計とは思えない。センスの良さを感じずにはいられない追い切り内容だった。
【9月28日(日) 阪神芝1400m】
◆
メルメラーダ(牝、父
St Mark's Basilica、母ジャムアンドマム、栗東・高橋一哉厩舎)
父は現役時代に仏2000ギニー、仏ダービー、アイリッシュチャンピオンSなどのG1を勝利している。すでに日本で産駒がデビューしており、
クワイエットアイ(栗東・中竹和也厩舎)が函館芝1200mの未勝利戦を勝ち上がっている。
本馬は7月4日に栗東でゲート試験に合格し、その後はノーザンFしがらきで調整して、8月27日に栗東へ帰厩。レースでも騎乗を予定している西村淳也騎手が跨った、CWでの1週前追い切りでは古馬1勝クラスの2頭を追走して、楽々と先着。6F81.1秒、3F36.6秒、1F11.1秒と時計も十分な内容となっており、初戦から動ける態勢は整っている。
(取材・文:井内利彰)