アーバンシック(中、馬上はアレクシ・プーシャン騎手)はハーツコンチェルト(左)、ナスノカンゲツと3頭併せ(カメラ・荒牧 徹)
◆第172回天皇賞・秋・G1(11月2日、東京競馬場・芝2000メートル)追い切り=10月29日、美浦トレセン
息の合った走りで見る者をうならせた。今週から短期免許で初来日したプーシャンを背にして
アーバンシックは、最後までリズムの良いテンポで駆け抜けた。最後まで気を抜く面をのぞかせずにフィニッシュして、鞍上は「息遣いもいいし、追い出してからも馬が前進意欲を見せてくれて、状態は万全だと思う」と涼しい表情で満足げだった。
巻き返しに向けて調子は上昇曲線を描けている。美浦・Wコースで外
ハーツコンチェルト(5歳3勝クラス)、内
ナスノカンゲツ(5歳3勝クラス)の真ん中からスタートして、6ハロン84秒0―11秒5でゴール前で仕掛けて最先着を果たした(内に半馬身、外に1馬身半先着)。武井調教師は「やっぱり基本的に馬乗りがうまいんでしょうね。クリストフ(ルメール)もそうだけど、『
イージーだ』と言ってあがってきた。だいたい抜け出したら、ちょっと気の抜ける馬なんですけど、すごく良かったです」と感心しきりだった。
この日の追い切り前にプーシャンは、同じフランス出身のルメールと電話でやり取りして馬のイメージを把握するなど研究熱心だ。「スタートはちょっと(遅い方)だが、ある程度の位置を取れれば、思い通りに動いてくれるのではないかという話をしていました」。大先輩のアド
バイスに耳を傾けるうちに、自信が沸いてきたようだった。
前走の宝塚記念は14着に敗れたが、馬自身もこの中間は当時よりも活気が出てきているという。昨年の菊花賞馬とあってスタミナについて鞍上は「
オールグッド!
パーフェクト!」と、タフさに手応えをつかんだ様子だ。才能のある人馬による新たな“化学反応”から、逆襲へのお膳立ては整った。(坂本 達洋)