88年のジャパンCを制したペイザバトラー(88年11月撮影、ユーザー提供:Yassyさん)
88年の
ジャパンCは大いに盛り上がった。天皇賞(秋)でワンツーを決めた芦毛の2頭、タマモクロスとオグリキャップが再戦。そこに海外から凱旋門賞馬のトニービンや「オセアニアの英雄」
ボーンクラッシャー、米の芝G1勝ち馬の
マイビッグボーイなどが加わった一戦を振り返る。
2頭が出走取消で14頭立てとなった一戦、1番人気は天皇賞(秋)でGI・3連勝を果たしたタマモクロスだった。単勝は3.2倍。これに3.9倍で凱旋門賞のトニービンが続く。少し離れて6.9倍でオグリキャップ、さらに9.9倍で
マイビッグボーイ。ここまでが10倍以下だった。
レースは前年の有馬記念覇者のメジロデュレン、英国のシェイディハイツの2頭が引っ張った。前半1000mは61秒4の平均ペース。オグリキャップは中団の前寄り。トニービンは中団で脚をためて、タマモクロスと
ボーンクラッシャーは後方から運んだ。そしてレースが動いたのは3〜4角、大欅の向こうを過ぎたあたりだった。タマモクロスが大外から進出すると、直線に向いて早々と先頭へ。1番人気にふさわしい横綱相撲だ。もう1頭の芦毛、オグリキャップはジリジリとした脚色で、なかなか差が詰まらない。かわって脚を伸ばしたのがペイザバトラーだ。徐々に内に切れ込みながら先頭に躍り出ると、外のタマモクロスを半馬身凌いでゴール。GI未勝利の9番人気馬がアッと驚く戴冠を果たした。
2着はタマモクロス、3着はオグリキャップ。日本が誇る芦毛の2頭を下した米国の伏兵は、翌年も
ジャパンCに参戦して3着に健闘する。そして引退後は日本で種牡馬入り。しかしながら、僅か1世代の産駒を残したのみで早世することとなったのだった。