「
ジャパンC・G1」(30日、東京)
本調子が戻らず、出走を保留にしてきた今年のダービー馬
クロワデュノールが26日、栗東CWでの最終リハで圧巻の動きを披露。騎乗したC・デムーロからお墨付きをもらい、参戦へGO
サインが出された。凱旋門賞14着からの国内復帰戦。強敵ぞろいの一戦で、ダービー馬がその力を誇示する。
不安の霧は、朝の光とともに消え去った。
ジャパンC出走を保留にしてきた今年のダービー馬
クロワデュノール。栗東CWの最終リハで見せたのは、躍動感に満ちた王者の走りだった。
異例の光景だ。朝日に照らされた漆黒の馬体。その背中には主戦の北村友ではなく、C・デムーロの姿があった。
カラペルソナ、
テルヴィセクスの2歳馬2頭の後ろからスタート。3角から徐々にペースを上げると、4角では機敏に進路を切り替えて2頭の間へ。四肢全体を使ったダイナ
ミックなフォームで6F82秒4-35秒8-11秒1をマークして、貫禄の最先着を決めた。
見守った斉藤崇師の表情は明るい。「先週と比べて4角を回ってくる時に活気があった。間を割ってくる雰囲気、伸びてくる感じが、いい時に戻ってきた」。不完全燃焼だったという凱旋門賞14着後は、早い段階でここに照準を定めてきたが、良化がスローでなかなか本来の姿が戻ってこない。メディカル面はクリアしながらも、走りの
バランスなど細部に残る不満。しかしこの日、ようやく指揮官は「合格点」を与えた。
注目すべきはラ
イバルである
ジャスティンパレスの鞍上を追い切りで起用した意図だ。「第三者の目線が欲しい」。指揮官が求めたのは、初騎乗で世界の高みを知る名手の判断。「どういう風に感じるか。勝てる感覚を持てるのか。
クロワデュノールとしてではなく、1頭の馬として聞いてみたかった。『
フィットネス、息遣い、手応え。いい状態だと思う』と言ってもらえた」。C・デムーロが引き揚げると北村友も加わり意見を語り合った。そして陣営の総意として出走へGO
サインが出された。
出る以上は結果が求められる。昨年、一昨年のダービー馬に、同世代の秋盾覇者、そして世界ランク1位の
カランダガンも顔をそろえる。斉藤崇師は「本当にいい走りができれば、このクラスでトップだと証明できる。この状態をキープというか、もう1個いい状態で競馬へ。この馬が強いところを見てもらえたら」。世代の頂点から全世代の頂点へ。ダービーを制した舞台から、
クロワデュノールの第2章が始まる。