◆第26回チャンピオンズC・G1(12月7日、中京競馬場・ダート1800メートル)追い切り=12月3日、栗東トレセン
有終の美を飾る準備は整った。
メイショウハリオ(牡8歳、栗東・岡田稲男厩舎、父パイロ)がラストランに向けての最終追い切りで、上昇ムードを漂わせた。初コンビを組む武豊を背に栗東・CWコースで、
トコトコクマチ、
リサシテーション(ともに2歳新馬)を追走する形の3頭併せ馬。直線で最内に潜り込むと、鞍上のアクションに応えて、力強く脚を伸ばし6ハロン83秒9―11秒4。調教駆けしないこの馬としては、上々の時計をマークした。
落馬負傷した浜中から、事前に情報を得て騎乗した名手。「確かに乗りやすい馬だと思いました。ズブさがあると聞いていましたが、今朝は反応が良かったですし、いい方で少しイメージと違ったところはありました」と好感触。「浜中くんがずっと乗ってきた馬で、乗れないのは本当に悔しいと思う。同じ騎手としてその気持ちは分かりますし、その思いを胸にしっかり持ってレースに挑みたい」と主戦の思いも背負った。
老いて盛ん。馬体の張りも毛づやも抜群のハリオには、この言葉がぴったりとあてはまる。8歳の今年、川崎記念でJpn1・4勝目をマーク。食道閉塞で帝王賞を競走除外となり、復調途上だったJBCクラシックで2着と底力を見せつけた。「前走は心配もありましたが、それを覆してくれた。1回使うとグッと気持ちも体の状態も上がってくる」と岡田調教師。24年サウジCでの無念の出走取り消しなどのアク
シデントも乗り越え長年、現役を続けられてきた理由を「気持ちと闘志でカバーしている。本当に偉い馬」と最敬礼した。
この日、岡田調教師がチャンピオンズCでの引退、北海道・浦河町の
イーストスタッドでの種牡馬入りを明かした。「種牡馬として頑張ってくれたらと思います」とトレーナー。だが、ハリオにはまだ最後の大仕事。JRA・G1初制覇が残っている。「先代のオーナーがご存命の時にできれば良かったんですけど、天国から応援してくれると思う」と岡田調教師が言えば、武豊も「メイ
ショウというのはやっぱり特別な意識がある」。天から見守る故松本好雄氏に勝利を届ける。(戸田 和彦)