GI昇格後の16年間でどの馬も乗り越えられなかった“初ダートでのV”に、
カレンブラックヒルが挑む。土曜午後、底冷えのする府中に降り立った昨年の3歳マイル王は、吹き付ける北風にあらがうように雄々しく地を蹴り、黒光りする筋肉の塊を馬房に収めた。
目はりんとして鋭い光をたたえている。アスリートとして、この上ないコンディションは手に入れた。西口厩務員もそこには自信がある。「思ったように仕上がった。与えられた全てのメニューをこなしてきたから」。あとはダートがどうなのか、その一点に尽きる。
「想像がつかないからね。とにかくチャレンジです」。前日発売で1番人気に推されたことにも「5、6番人気でええと思っていたんだけど」と気負いはない。ジンクスは破るためにある−。ファンの期待に応えて、この言葉を証明してみせる。
決戦前日、
イジゲンは美浦坂路の馬場の中央を15-16秒台のラップで流して最終調整を完了した。白みがかった体をいっぱいに伸ばした走りに、橋本助手は「中間はみっちりやってきたので動ける状態」とうなずく。「練習通りにゲートを出てくれたら」と力を込めた。
提供:デイリースポーツ