“静”の姿勢を貫いた。美浦Wで行われた注目のロゴタイプの追い切りは、単走、馬なりと見た目は単調な内容で終わった。マークした時計も5F72秒5-42秒8-13秒0。大舞台を前にしては遅い時計で、不安視する声も聞こえてきそうな凡庸なもの。それでも、「折り合いに専念して、しまいは流すようにと指示。うまくできたと思います」と田中剛師に迷いは見られない。
速い時計を必要としないタイプ。主役として挑む牡馬クラシック初戦だからといって変化を求めることなく、普段の調整法を通した。「時計は馬場の外を回ってのものでしたからね。先週(美浦W、5F69秒0-12秒1)の動きは良かったし、きょうの追い切り後もいい雰囲気です」と指揮官は体調の良さに自信を持つ。
今季初戦の前走スプリングSはM・デムーロの騎手免許発行期間の関係で、弟のクリスチャンが代打で騎乗して完勝。「弟と話したけど、“とてもいい馬で本番も自分が乗りたい”と言っていたよ」と昨暮れの朝日杯でVに導いた兄ミルコ。今回は未知となる10F戦。「クレバーホース!とても賢いし、レースを分かっている。何も言うことはないし、距離にも対応できる」と相棒を信頼し、全く心配していない。
先週の桜花賞はレッドオーヴァルに騎乗して2着。弟クリスチャン騎乗のアユサンの後じんを拝しただけに、「兄としては弟の初GI制覇はうれしいが、兄弟といってもライバルだからね。今回は自分が1着になりたい」とインパラトールに騎乗する弟へのリベンジに燃える。兄の威厳を見せつけて、2歳王者ロゴタイプを鮮やかに勝利へエスコートする。
提供:デイリースポーツ