今もファンから根強い人気のある
オースミハルカ(牝25歳・父フサイチコンコルド、母ホッコーオウカ)。G1を勝つことはできなかったが、逃げの戦法で強豪馬に堂々と立ち向かった姿はファンの心に強く残っている。
当時の絶対女王だった“怪物牝馬”を次々と封じ、世間を驚かせた。03年チューリップ賞は、のちに牝馬3冠を成し遂げる
スティルインラブを抑えて勝利。7番人気で挑んだ03年クイーンSは、逃げの戦法をとって
ファインモーション、
テイエムオーシャン(いずれもG1を2勝)を完封と、名だたるG1馬に先着して力を示した。主戦を務めた川島信二さんは「逃げましたら息をいれながら走ってくれて。直線、4コーナー向いても手応えが良かったので。本当そのまま押し切ってくれた」と振り返る。
しかし、G1では惜敗が続いた。エリザベス女王杯は2年連続2着で、女王の座に惜しくも届かず。2004年は武豊騎手とコンビの
アドマイヤグルーヴにゴール前でかわされ、05年は観衆がどよめくほどの大逃げを打ったが、最後の最後で
スイープトウショウ(池添謙一騎手)の鬼脚に屈した。4コーナーを回っても「全く馬は止まっていなかった」と、脚色は最後まで衰えなかったが…。
あれから20年。引退後は生まれ故郷の北海道浦河町・鮫川啓一牧場で繁殖生活に入り、出産した産駒は11頭。09年生まれの
オースミイチバン(牡、父アグネスタキオン)が兵庫チャンピオンシップ(12年)、ダイオライト記念(13年)の交流重賞を2勝。12年生まれの
オースミラナキラ(牡、父ハーツクライ)はJRA4勝を挙げた。現在は繁殖牝馬の役目を終え、功労馬として元気に過ごしている。
今年のエリザベス女王杯・G1(11月16日、京都競馬場・芝2200メートル)は、どんなドラマが生まれるのか。
ハルカが沸かせた淀の芝2200メートルで、また新たなドラマが生まれようとしている。