終われてからの上々の反応を見せたツルマルレオン(撮影:井内利彰)
追い切りが集中した19日は今にも降り出しそうな空模様ながら、雨の影響を受けることなく調教時間が終了。しかし、その日の午後からは豪雨。深夜まで降り続き、20日の調教開始時刻の頃にも軽く降っている感じ。
雨量を考えれば、極端に時計の掛かる馬場になってもおかしくなかったところだが、これまでが乾いた馬場だったので、大きく影響を受けるほど、馬場は重くなっていない。むしろ、今回の雨で路盤近くのウッドチップが湿り気を帯びれば、来週あたりは時計の出やすい馬場になるのではないだろうか。
【坂路/4F51.9秒】
19日。一番時計は4F49.7秒のエリモタフネス(栗東・坂口正則厩舎)。50秒を切ったのは、この馬だけだったが、50秒台は7頭。速い時計が出た馬は朝一番だけでなかったので、この日の馬場状態は良好。時計が遅い馬に関して「馬場が悪い時間帯だったから」といった類のコメントが出ても、それを信用せずに、時計を素直に評価してよいだろう。
来週行われるCBC賞(6月30日・中京芝1200m)の1週前追い切りも行われているが、その中で目立ったのは2頭。まずは、高松宮記念12着後、休養していたツルマルレオン(栗東・橋口弘次郎厩舎)。ダノンマックインを追走する併せ馬だったが、2馬身以上先行していた相手に追いつくまで、時間を要したが、追われてからの反応は上々。4F51.3秒はかなり速い時計だし、3F続けて12秒台のラップを刻みつづけたあたり、現状の良さが表れている。
また、2回目のハロー明けの時間帯に追い切ったのが、マジンプロスパー(栗東・中尾秀正厩舎)。単走だったが、前半2Fをゆっくり入り、加速したのは後半2F。スピードが上がってからの脚の回転速はさすが。3F目に11.8秒というラップを刻んで、4F52.4秒。こちらはマイラーズC以来のレースとなるが「らしさ」の出た追い切りとなった。
先週の馬場差は「+0.4秒」で観測しているが、今週は明らかに時計が出ている。ただ、速い時計を出した頭数が多いわけではないので、全体的なバランスを見て『-0.1秒』が妥当と判断。なお、20日も決して時計が掛かっている印象はなく、19日、20日ともこの数字で観測した。
【CW/5F66.5秒】
先週もお伝えした、状態の悪いウッドチップ馬場。4コーナー付近を転圧したということだが、各陣営とも、無理を控えて、追い切りを行っているといった感じ。そんな中でも、調教時間の後半には、転倒する馬もおり(馬は無事)、やはり、まだまだ安心できる状態ではないようだ。
そんなわけで、19日、20日とも、3コーナーから4コーナーでの急激な加速を控え、直線に向いてから、加速するというパターンが多く見られた。そんな中で、動きの良さが目についたのは、尼崎Sに出走予定のマイネルガヴロシュ(栗東・五十嵐忠男厩舎)。幸英明騎手が跨って、単走での追い切りだったが、6F84.0秒だったが、ラスト1Fは11.7秒。ぐんぐんと加速する動きが印象的だっただけに、ハンデ戦のここなら、見せ場はありそう。
先週の馬場差が「-0.6秒」。今週は降雨があったものの、時計の出方には大きな変化はない。よって、19日、20日とも『-0.6秒』で観測している。
【DP/5F64.5秒】
19日こそ、通常通りの追い切り頭数だったが、20日はCコースの状態を危惧して、Dコース追い切り馬が多数。ポリトラック馬場だけでなく、芝馬場を利用しての追い切りも目立ったが、芝コースでの追い切りは水分をたっぷり含んでいるのか、あまりスピード感のない馬が多かった。
動きが目立ったのは、先週も紹介したエーシンタヒチ(栗東・田所秀孝厩舎)。追い切りの動きだけ見ていれば、二桁着順が続いているのが、不思議なくらいなので、そろそろ馬券に絡んでもおかしくないはず。
なお、DPの馬場差は先週同様、全体的に時計が速い。よって19日、20日とも、先週と同じ『-1.0秒』で観測している。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。(取材・写真:井内利彰)