先週末の雨で、今週の栗東は非常に涼しい状態。調教開始前であれば、19℃と少し肌寒いくらいの気候。馬にとっても、過ごしやすい週だったと言える。
ウッドチップに与えた雨の影響だが、追い切り時計にはほとんど支障なし。むしろ、適度な湿り気を帯びたので、坂路馬場は非常に走りやすい状態。29日は少し暑くなったが、今週末も雨の予報が出ているだけに、9月にかけても、馬にとっては調教しやすい気候になりそうだ。
【坂路/4F51.9秒】
28日。この日の一番時計は
サトノユニコーン(栗東・橋口弘次郎厩舎)の4F49.8秒。ただ、スタート地点で騎乗者が落馬しており、乗り手がいない状態での時計だった。よって、実質、一番時計は
シゲルカガ(栗東・谷潔厩舎)の4F50.8秒。ラスト2Fも24.3秒でまとめており、非常に優秀な時計。
全体的に見ると、
サトノユニコーンを除いて、4F50秒台が1頭、4F51秒台が15頭ということで、速い時計を出した頭数は先週の方が多いが、極端に馬場が違っているという印象はなく、むしろ、先週と同じく時計が速い印象だった。
時計の出やすい馬場とはいえ、新馬の身で、4F51.7秒をマークしたのが
リアルヴィーナス(栗東・安達昭夫厩舎)。阪神開催、開幕週でのデビューが予定されており、レースでも騎乗予定の武豊騎手が跨っての追い切り。高い
スピード能力で、軽快に坂路を駆け上がっており、ラスト1Fも12.4秒と終いの脚もしっかり。なかなか好メンバーの揃う、芝1400m(牝)だが、その中でも中心的存在として注目すべき馬だろう。
文中にも記したように、先週同様に時計の速い馬場。よって、28日、29日とも先週と同じ『-0.3秒』で観測している。
【CW/5F66.5秒】
これまで、目一杯に追い切る馬が少なく、馬場状態に関して判断の難しかったCコースだが、今週はテンから飛ばして、終いバテ気味になる馬が、6F77秒台をマーク。これだけ時計が出るということは、決して走りにくい馬場というわけではなさそう。先週末の雨で、適度に水分を含んだことが、時計の出る馬場を演出しているのだろう。
今週は春の重賞戦線で活躍し、秋のレースに備えて帰厩した馬たちが、続々と追い切りを行っているが、安田記念3着後、休養に入り、8月8日に生田トレーニング
ファームから帰厩した
ダノンシャーク(栗東・大久保龍志厩舎)もそんな一頭。
Cコースでの追い切りは、デビュー前も含めて初めてとなるが、引っ掛かる様子もなく、スムーズに
エーシンエムディーを追走する形。直線では、画像のように外に併せて、追い比べの形になったが、内の相手が完全に持ったままの手応え。最後は併入に持ち込むのがやっとという感じだったが、相手が走りすぎただけ。
ダノンシャーク自身としては、非常に中身の濃い追い切りができたのではないだろうか。京成杯AH(9月8日・中山芝1600m)への出走が予定されているが、出走態勢は整っている。
先週はウッドチップ乾燥が影響した「±0.0秒」。今週は、雨の影響があったので、時計が出る馬場に戻っている。よって28日、29日とも『-0.3秒』の馬場差で観測している。
【DP/5F64.5秒】
追い切り頭数は先週と変わらない40頭弱。ただ時計の出方に関しては、少し乾燥気味だった馬場が、雨で水分を含んだことで、時計の出やすい馬場になっている。5F62秒台というのも珍しくない。
動きが目立ったのは、3歳未勝利の
メイショウフウタ(栗東・安達昭夫厩舎)。テンから軽快な
スピードで飛ばしていったが、その勢いは止まらずに、6F77.1秒。終いは1F12.4秒だったが、馬自身にはまだまだ余力があった。「自分で走るのをやめてしまうようなところがあって。それがなければ、すぐに勝てる能力はあるんですが」と安達昭夫調教師。来週の阪神開催でのレースが、生き残りを賭けた一戦となるが、真面目に走ってくれることを期待したい。
今週は雨の好影響を受けて時計が出る馬場。よって、馬場差は28日、29日とも先週より速い『-1.0秒』で観測している。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。(取材・写真:井内利彰)