栗東坂路で理想的な追い切りを行ったホッコータルマエ(右)
ド派手なタイムは必要ない。実戦を強く意識した最終リハだった。馬場整地後の栗東坂路で、交流GI5勝馬ホッコータルマエがメリハリの利いた走りを披露。悲願のJRA・GI初制覇に向けて好気配を漂わせた。
スプリングシーズン(6歳1000万下)を3馬身追走する形で発進する。2F過ぎにジワジワと僚馬に並びかけると、そのまま集中力が途切れないように叱咤(しった)しながらフィニッシュ。併入後も気合を入れる念の入れようで、4F54秒8-39秒6-12秒2をマークした。またがった幸は「理想的な追い切りができた。最後まで気を抜かせないように追えたので」と白い歯をのぞかせる。
昨秋のJCダートは2番手から早めに抜け出した際に気を抜きベルシャザール、ワンダーアキュートの後じんを拝して3着。最優秀ダートホースの座も逃してしまった。
「(ベルシャザールを)逆転してからドバイへ、という気持ちは強い」と主戦はリベンジに意欲。これまでの調教はもちろん、直線で2着馬の追撃をギリギリまで待ってから追いだした前走の川崎記念も、全ては最後までレースに集中させて100%の力を発揮させるための布石だ。「今回は直線が長いし、あとは仕掛けのタイミング。他馬と一緒に伸びて行く形がベスト」とVのイメージを描く。
秋にはブリーダーズC(10月31日〜11月1日、米サンタアニタ)への挑戦プランもある。西浦師は「ドバイを勝てばの話だけどね。まだ今の段階ではとても…。ただ、こういう馬に巡り会えたことは幸せ」と目を細めた。中央GIという新たな勲章を得て、意気揚々と大海を渡る。
提供:デイリースポーツ