【菊花賞】ダービー馬不在の一戦、地方所属の岩田康誠騎手と制したデルタブルース/平成乱菊列伝

2018年10月16日 19:15

地方所属時代の岩田康誠騎手とのコンビでデルタブルースが2004年の菊花賞を制した

 ダービー馬ワグネリアンの不在で混戦ムードが漂う、今年の牡馬クラシック最終戦。今年同様にダービー馬が不在だった2004年は、8番人気馬が制した。勝ったデルタブルースは1000万条件を勝ったばかりの伏兵だった。今回は、そんな2004年の「平成乱菊列伝」をお送りする。

■3コーナーの坂を利して、騎手・調教師・馬ともにGI初制覇

 2004年の菊花賞は、皐月賞馬ダイワメジャーもダービー馬キングカメハメハも不在だった。春の2冠で上位に来たハーツクライやコスモバルク、ハイアーゲームが人気になったものの、混戦模様となった。ただ、そのなかにおいてもデルタブルースは8番手評価でしかなかった。

 デルタブルースについて、陣営はデビュー当初から長距離適性を見抜き、菊花賞を念頭に置いていたという。実際、デビュー戦はマイルだったが、その後は2000m以上を使われている。初勝利は6戦目、3歳春の福島芝2000mだった。そして次走は中1週で青葉賞に挑むも13着と惨敗。ただこれは「秋の菊花賞を意識していたので、広い東京競馬場で格上挑戦をさせた」との狙いもあったようだ。その後500万下、1000万下特別を勝ち、なんとか菊花賞へ挑戦できるだけの賞金を重ねたのは、菊花賞が行われる3週間前のことだった。こうして、本番への出走にこぎつけた。

 菊花賞は、先行争いからコスモバルクが先頭に立つ。大外18番枠からスタートしたデルタブルースは5番手。道中は縦長の展開から、3コーナーの坂を上ったところでデルタブルースが動き出す。岩田騎手に気合いをつけられると、4コーナー手前で先頭のコスモバルクに並びかけ、直線は2頭が馬体を併せて競り合う形に。残り200mで抜け出し、内からホオキパウェーブが迫ってきたが、これも抑えて先頭で駆け抜けた。ゴール前ではもうひと伸びして、ホオキパウェーブには1馬身1/4差をつけての勝利だった。

 当時、地方競馬所属だった岩田騎手を起用した角居調教師は「切れる脚がないので、長い距離をずっと追える騎手がいないかということで、岩田騎手を知った。3コーナーの下りを利用して乗って欲しいとは言ったが、馬の良さを引き出してくれ、がっちり追ってくれた」と話し、岩田騎手も「最初と次の3コーナーでどう乗るかがポイントだと角居先生から聞いていた」といい、二人の言葉からプラン通りの会心の勝利だったことが窺えた。このとき、中央競馬のGIを初めて制した岩田騎手だったが、同様に角居調教師もこれがGI初制覇となった。角居調教師はデルタブルースの引退時に、「ウチの功労馬で屋台骨を支えてくれた。厩舎の名を広めてくれた“ザ・スミイ”という存在でした」とコメントを寄せた。二人にとってデルタブルースの菊花賞は、その後の活躍の原点といえるのかもしれない。

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