陣営が願ったとおりの5枠8番を引き当てたキセキ(撮影:花岡貴子)
明日はジャパンカップ。さすがにどの馬たちもいい雰囲気ではあるのですが、中でもキセキに注目しています。
この春から夏にかけてパンダのような顔をしていたのと同じ馬というのがウソのよう。この秋は毎日王冠3着で復活の手ごたえを得たあと、天皇賞(秋)を経て明らかに更に良くなっています。
「天皇賞が終わった後、GIであれだけ頑張ってくれたので脚元や馬体の疲れがないかをジックリとチェックしたんですけど、ビックリするくらい疲れはありませんでした。その後の馬体の回復もすごく速かった。体調がいい分、この秋はしっかり調教を積めていますし、競馬を使ってもへこたれないところを見せてくれています。
この秋3戦目となるジャパンカップですが、状態はもうひとつ上がってきているんじゃないか、という手ごたえを感じています」(辻野助手)
担当の清山助手はキセキが菊花賞を勝ったとき、「ウオッカも含めて、過去に乗った馬の中で3本の指に入るほどの資質を秘めた馬」と評していました。
その考えは今も変わらず、いや、さらに深まっているようです。
「ここまでメニューどおりの調教をこなしてこれています。そして、いまはその背中に乗りながらキセキの成長を肌で感じています」(清山助手)
枠は陣営が願ったとおりの5枠8番。真ん中の偶数枠です。
「内過ぎたり、外過ぎたり、極端な枠でなければいい」というのは陣営の一致した意見でしたが、そのとおり叶うとは運も向いています。
そして、清山助手は東京競馬場にキセキが到着したあと、
「明日、ジョッキーに気持ちよくバトンタッチできるように」
と残された半日の調整に、気持ちを新たにしていました。
さらに、GIを何度も勝っている人との会話を感慨深く話していましたね。
「GIを何度も勝っている人に"どうしたらGIを勝てるのか"を聞いたことがあるんです。すると、『馬が勝手に連れて行ってくれるんだよ』という答えが返ってきて。そんなバカな?!と思っていたけれど、いまキセキと一緒にいてその気持ちがわかるんです」(清山助手)
さて、ジャパンカップでキセキは陣営をふたつめのGIに連れて行くことが出来るでしょうか。
第38回ジャパンカップの出走時刻は11月25日午後3時40分です。
(取材・文:花岡貴子)