トウカイテイオーが奇跡の復活V 平成の競馬史に残る屈指の名勝負だ(撮影:高橋正和)
長く古馬中長距離戦線を引っ張ってきたメジロマックイーンが京都大賞典を最後に引退し、前年の二冠馬ミホノブルボンは長期休養中。それでもG1馬が8頭揃ったこの有馬記念、ファンが1番人気に支持したのはビワハヤヒデだった。
ここまで10戦6勝2着4回。メンコを外して臨んだ秋の2戦を圧勝し、古馬との初対決に挑んできた。
2番人気は前走でコタシャーン以下を降しジャパンカップを制したレガシーワールド、そのジャパンカップで3着だった同年のダービー馬ウイニングチケットが3番人気で続く。
前年の有馬記念以来の出走となるトウカイテイオーは4番人気。主戦の岡部幸雄がビワハヤヒデを選択したこと、最終追い切りでヨレる面を見せたこともあり、ファンの見方は懐疑的で、4番人気という評価も、どちらかといえば応援票というニュアンスが強かった。
前年とは異なり、メジロパーマーが後続を引きつけながらの逃げを打ち、ビワハヤヒデは好位から競馬を進める。トウカイテイオーは8番手で機を窺う。手応え十分に4コーナーを回ったビワハヤヒデが、直線で早々と抜け出したところに、外からトウカイテイオーが襲いかかる。残り100mで馬体を併せると、トウカイテイオーがビワハヤヒデを半馬身競り落としたところがゴール。JRA史上最長となる中363日でのG1勝利の偉業達成に、場内からは期せずして「テイオー・コール」が沸き起こる。
勝利騎手インタビューで田原成貴は声を詰まらせ、岡部幸雄は「テイオーに差されたなら仕方ない」と振り返った一戦。紛れもなく、平成の有馬記念史に残る、屈指の名勝負だった。