キャロットC

レースレコード・タイで圧倒したクリソベリル/兵庫CS回顧(斎藤修)

2019年05月03日 18:00

2着に5馬身差をつけ、レースレコード・タイで勝利したクリソベリル(撮影:稲葉訓也)

 JRA5頭は、まるできっちり揃えたかのようにダート1800mで2勝という馬たち。かつてであれば賞金を加算したい芝路線の馬や、1勝馬でも出走できる可能性があったが、近年ではデビュー時から迷わずダート路線に決めたり、芝の適性がないと判断すると早い時期からダートに転向する馬もめずらしくなく、JRAのダート路線の層が格段に厚くなった。

 一方の地方勢は、兵庫一冠目の菊水賞1、2着馬が回避。であれば地方馬はすべて単勝万馬券という評価も仕方ない。まして2016年から昨年まで3年連続でJRA勢が掲示板独占となっている。しかしながら今回は地元兵庫勢が3、4着に食い込む健闘の走りを見せた。

 その要因は、勝ったクリソベリルがあまりに強かったからでもある。

 外枠から抜群のスタート切ったダイシンインディーが行く気を見せたが、クリソベリル、さらにゴールドラグーンも軽く押した程度でスピードに乗り、3頭が併走。離れた4番手にヴァイトブリックで、さらに離れた5番手にメスキータ。スタートして最初の3コーナーまでにこれほど縦長になるのはめずらしい。前はそれほどのハイペース。クリソベリルのルメール騎手は、さすがにそのペースに付き合う必要はないと思ったのだろう、すぐに3番手に控えた。

 とはいえずっとそのペースでレースが流れたわけではない。スタンド前の直線から後続勢が徐々に差を縮め、2コーナーから向正面に入るあたりでは、流れについていけない2頭以外の10頭は8馬身くらいの中に凝縮。ペースが落ち着いたところで先行集団のうしろに取り付いたのがヴァイトブリックで、地元のバンローズキングスも一緒に位置取りを上げた。

 先行争いを避けたヴァイトブリックには絶好の展開になったかに思えたが、3コーナーからのクリソベリルが圧巻だった。軽く仕掛けただけで一瞬にして先頭に立つと、追ってきたヴァイトブリックを直線で突き放しての圧勝となった。

 ゴールドラグーン、ダイシンインディーは、クリソベリルを負かすにはこれしかないと考えて強気の先行策だったのだろう。それで最後にバテたぶん、地元のバンローズキングス、エナキョウが3、4着に食い込む余地ができた。

 クリソベリルの勝ちタイム1:57.3(重)は、2004年に不良馬場で勝ったメイショウムネノリとレースレコード・タイ。ただ2分を切る決着が多かった当時と違い、近年は2分台の決着が普通で、2分を切る勝ちタイムは2013年のコパノリッキー(1:58.4・良)以来のこと。2008年のJBCクラシックでヴァーミリアンが出した1:56.7(良)というコースレコードにコンマ6秒差と迫るかなりの好タイムだ。

 クリソベリルの目標はひとまずジャパンダートダービーとなるようだが、今年はヒヤシンスSまで3戦全勝のオーヴァルエース、伏竜Sまで3戦全勝のデアフルーグという、ここまでダートで負け知らずという馬がほかにもいるだけに、クリソベリルが断然となるかは未知数。

 それにしても、オーヴァルエースが勝ったヒヤシンスSで3着だったデルマルーヴルがその後UAEダービーで4着と好走し、デアフルーグが勝った伏竜Sで5着だったのが全日本2歳優駿を制したノーヴァレンダだったということでは、クリソベリルも含めて、この世代のダートは相当にレベルの高い争いになりそうだ。

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