素軽い動きができているユーキャンスマイル(撮影:井内利彰)
今週の栗東は穏やかな気候。調教開始時刻は肌寒いくらいの気温で、陽が昇って暑く感じる時間帯になっても、吹く風はどこか心地よい。いよいよ、本格的な秋に向かって変化していく時期なのかも知れない。
今年も異常な暑さで夏負けしている馬がいたようだが、ここにきて、かなり調子を回復させている。夏場に比べると、しっかりと追い切りをこなしているようなタイプがそれに該当するので、その変化を見ることでおいしい馬券になる馬を発見することができるかも知れない。
【坂路/4F51.9秒】
9月25日。一番時計は毎日王冠(10月6日・東京芝1800m)の出走を予定しているモズアスコット(栗東・矢作芳人厩舎)の4F49.8秒。50秒を切ったのはこの馬しかいなかったが、4F50秒台の頭数は10頭を超えている。このところ、走りやすい馬場状態が続いているが、その傾向に変化はないものと思われる。
各ラップを見ていくと、ペプチドバンブー(栗東・武英智厩舎)が3F目に11.5秒をマーク。ヤマニンレジスタ(栗東・奥村豊厩舎)がこれに次ぐ、3F目11.6秒をマークしており、一瞬にして加速しやすい馬場であることも間違いない。
とはいえ、本当に素晴らしい動きだったのが、スプリンターズS(9月29日・中山芝1200m)の出走を予定しているディアンドル(栗東・奥村豊厩舎)。これまでは1F目を少しゆっくり入ることが多かったのだが、今回は15.5秒から入って、後半が11.9秒、11.7秒。11秒台を2F続けたのはこの馬しかおらず、大一番に向けて最高の追い切りができたと判断してよい。
9月26日。一番時計はドロウアカード(栗東・角田晃一厩舎)の4F50.7秒。前日に比べると遅い時計になるが、追い切り頭数が違うだけで、馬場状態としては変わりない。その証拠に3F目に11.7秒をマークした馬が2頭いて、瞬間加速を行いやすい馬場であることに変わりはない。
先週の馬場差は「-0.4秒」。馬場状態としては先週も今週もさほど変わりないはずだが、時計自体は今週の方が速い数字が目立つ。そのあたりも考慮して、今週の馬場差は先週より少し速い『-0.6秒』で記録している。
【CW/5F66.0秒】
9月25日。理由はともかく、先週に比べると、ゴール前での時計があまりでなくなっているのが今週。特に前半を飛ばし気味に行ってしまうと、13秒でも後半になってしまうような馬もいた。その分、全体的に速い時計も先週に比べると少ない。
そんな中で素晴らしい動きがトップオブメジャー(栗東・友道康夫厩舎)。3頭併せを最後方から追いかける形だったが、ゴール前では真ん中のアドマイヤビクターとの追い比べ。こちらはかなり後ろから行ったので、最後は相手の方が優勢だったが、6F81.6秒、1F11.7秒は非常に優秀な時計。未勝利を勝ったばかりだが、即1勝クラスで通用する脚力は持っている。
9月26日。前日に比べると、ラスト1Fで11秒台をマークする頭数が増えている。ただ、この理由に関しても定かではない。ゴール前でいい動きだったと思うと、12秒を切っている馬が多いという感じ。
そんな中、天皇賞・秋(10月27日・東京芝2000m)に向けた追い切りを行ったユーキャンスマイル(栗東・友道康夫厩舎)の動きがいい。前方に3頭併せがいて、それらを見る形だったが、レースまで1ヶ月以上ある段階で、これだけ素軽い動きができれば上々という走り。時計は6F83.1〜5F67.5〜4F52.8〜3F38.3〜1F12.5秒としっかり出ているし、G1でも十分に楽しみな存在として出走することになりそう。
先週の馬場差は「-0.5秒」。馬場自体は先週と変化がないはずだが、時計の出方はちょっと変わっている。よって、25日は『-0.3秒』、26日は『-0.5秒』で記録している。
【DP/5F64.5秒・D芝/5F63.0秒】
今週の芝馬場での追い切り頭数は25日も26日もそれなり。走っている時の馬場状態を見ると、適度な硬さという感じで時計も出ている。よって、今週の馬場差も先週と同じ『±0.0秒』で記録している。
ポリトラック馬場は先週とほぼ同じ追い切り頭数。ラスト1Fもしっかり負荷がかかるような馬場状態で、入れ替えの効果も大きいように思える。今週の馬場差も先週と同じ『±0.0秒』で記録している。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。
(取材・文:井内利彰)