エリザベス女王杯へ向けて順調なラヴズオンリーユー(撮影:井内利彰)
今週に入って、栗東の気温は急に低下。これに合わせるかのように、スタンドの気温計も直っており、16日の朝一番は10℃。長袖はもちろん、ジャンパーを着ていても寒く感じる。ただ、陽が昇り始めると、気温は上昇していき、13℃くらいになると上着も必要ないくらいだった。
17日の朝一番は13℃。前日よりも寒さは感じなかったが、午前中は曇り空だったこともあり、体感温度は前日ほど上がってこなかった。
【坂路/4F51.9秒】
10月16日。ウッドチップの入れ替え工事は走路部分に関しては、すべて完了。転圧はされているものの、新しいウッドチップなので、クッション性が大きい分、走りにくいところもあるようだ。また先週末に降った雨の影響もあると思われる。
一番時計はマカヒキ(栗東・友道康夫厩舎)の4F51.4秒。この数字自体はかなり遅いし、51秒台が6頭しかいなかったのは先週の水曜日と比較すると雲泥の差。ただし、これは全休明けという、先週とは全く違う状況が影響したものと思われる。
よって、馬場差を見る上で重要なのは、10月17日。当然のように追い切りが集中したわけだが、一番時計はジョーカナチャン(栗東・松下武士厩舎)の4F50.7秒。この数字自体は前日よりも速い。ただ、50秒台1頭、51秒台8頭は追い切り頭数を考えるとかなり少ないといってよい。
実際の動きを見ていても、4F目にラップが大きく落ち込むケースが多い。それは2回目のハロー明けに追い切ったアルアインとスマートオーディンの池江泰寿厩舎の重賞ウイナーの併せ馬を見れば顕著。テンから14秒台を踏んだとはいえ、4F目がアルアインで13.1秒。3F目11.7秒から大きく失速しており、スピードを持続させるのがかなり難しい馬場といってよいだろう。
ただ、ウッドチップなのだから、このくらい時計を要して当然。ようやく基準時計に近い、時計の出方になってきたと言える。先週の馬場差は「-0.3秒」。今週はさすがにチップ入れ替えの影響が大きく、基準よりも時計を要する馬場状態。よって今週の馬場差は16日、17日とも『+0.5秒』で記録している。
【CW/5F66.0秒】
10月16日。雨の影響がどれほどなのか、気にする乗り手も多かったが、時計の出方自体は先週と変わらないか、少し速くなったかなというくらい。この日は全休明けということもあり、6Fから速い時計を出そうという追い切り自体が少なかったが、それでもしっかりと時計が出ている追い切りが目立っていた。
10月17日。追い切りが集中。菊花賞、天皇賞・秋といったG1の最終追い切り、1週前追い切りがバンバンと行われて、特殊ゼッケンを着用した馬が次々にゴール前を通過していく。また、G1のトライアルを使う馬たちも順調に追い切りを消化していた。
スワンS(10月26日・京都芝1400m)をC.スミヨン騎手で出走予定のダイアトニック(栗東・安田隆行厩舎)は、1回目のハロー明けに2コーナーから入場して、3頭併せ。6F地点で2秒近く追走するような形だったし、最後の直線に向いてからも1秒近い差があったものの、一瞬にして前に追いついて追い越す脚力を披露。時計も6F81.7〜5F65.9〜4F51.2〜3F37.0〜1F11.7秒と素晴らしい。
2回目のハロー明けで単走で追い切ったのは、ラヴズオンリーユー(栗東・矢作芳人厩舎)。秋華賞を回避する形となったが、エリザベス女王杯(11月10日・京都芝2200m)へ向けて、順調さをアピールする動き。今朝は6F84.4〜5F69.4〜4F55.1〜3F40.9〜1F13.3秒と遅めだったが、来週以降はそのピッチも上がってくるだろう。
先週の馬場差は「-0.4秒」。乗り手の感触は良くない状態だが、時計の出方自体は決して悪くない。基準時計よりも少し速いかなといった印象もあるだけに、今週の馬場差も先週と同じ『-0.4秒』で16日、17日とも記録している。
【DP/5F64.5秒・D芝/5F63.0秒】
芝馬場での追い切りは決して多くなかったが、16日、17日とも追い切りは行われている。馬場状態としては、ある程度時計が出る、走りやすい状態だった。今週の馬場差は先週と同じ『±0.0秒』で記録している。
ポリトラック馬場の追い切り頭数は先週と同じくらい。時計の出方は先週までに比べると、気持ち速くなった印象も受ける。ただ、馬場差としては先週と同じ『±0.0秒』で記録している。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。
(取材・文:井内利彰)