引退を公言しているリスグラシューはメイチに仕上げてくる可能性が高く、アーモンドアイが出走してきても決して侮れない(写真提供:Racing Photos)
近年の有馬記念で、牝馬が勝ったケースは2度。08年ダイワスカーレットと14年ジェンティルドンナだ。共通項としては、ともにここが引退戦だったこと。ただ、ダイワスカーレットは有馬記念を制した後もレースに出走する意思を示していたが、浅屈腱炎を発症して結果的にグランプリがラストランとなった。ジェンティルドンナはラストランと公言してグランプリに挑み、制した。
また、17年2着だったクイーンズリングもラストラン公言パターンだった。前年のエリザベス女王杯を制した後、GI、GIIで5連敗を喫していたが、最後に存在感を示して牧場へと戻った。09、10年と2年連続2着のブエナビスタはラストランではなかった。逆に、引退レースと公言して臨んだ11年有馬記念は7着に敗れた。
つまり、ラストランと発表してから有馬記念に臨む牝馬には警戒したい。究極の仕上げを施される可能性があり、また周囲のスタッフ、関係者の雰囲気から馬がそれとなく察し、奮闘する(結構こういうパターンは一般的なレースでも多い)ケースもある。今回、ラストランと公言して参戦するリスグラシューには注意だ。
もちろん、ラストランではなく勝ってしまうダイワスカーレットパターンもある。同馬は天皇賞・秋を2着惜敗から臨んで完勝。一方、天皇賞・秋を圧勝し、はからずも有馬記念に向かうアーモンドアイは、臨戦過程という点ではダイワスカーレットより上か。よって過去の牝馬の快走例を思えば、こちらも突き抜ける可能性十分ということになる。
(文=スポーツニッポン・鈴木正)
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