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【黒船賞回顧】馬場も味方にラプタス快走(斎藤修)

2020年03月11日 18:00

水が浮くほどの馬場をも味方にし、ラプタスが重賞初制覇(撮影:稲葉訓也)

 高知の馬場は重・不良はよくあるが、この日はところどころ水が浮くほど。普段はラチ沿いをかなり空けてレースが展開されるが、水が浮くほどになると内も外も変わらなくなるようで、この日はある程度内目も使われてのレース展開。そして前残り。黒船賞もその傾向どおりのレースとなった。

 ダートに転向して4連勝中だったラプタスは、初オープンとなった前走バレンタインSは、スタートで躓いた上に外の馬に主張される厳しい展開で直線は失速。しかし今回はほかにこれといった逃げ馬もなく軽く仕掛けただけですんなり単独先頭。1コーナーを回るあたりですでに馬群はバラけハイペースに思われた。しかしラプタスにはそれがマイペースだったようだ。

 向正面で2、3番手のサクセスエナジーデュープロセスを引きつけたが、3コーナーを回って徐々に差を広げると直線は独走となっての完勝。追走してきた好位勢は脚色が一緒になっていた。

 同じダート1400mでも、ワンターンの中央と、コーナーを4つ回る地方の小回りコースでは発揮できる適性が違うと考えて予想をしているのだが、もちろんその両方をこなせる馬もいる。ラプタスは水の浮く前残りという馬場状態の助けもあったとはいえ、初めての地方でもそのスピードを遺憾なく発揮した。地方のダートグレードにはコーナー4つの1400m戦が数多くあり、この条件がこなせたことで期待が広がる快走となった。

 ディープブリランテ産駒の重賞勝ち馬には、セダブリランテス(ラジオNIKKEI賞、中山金杯)、モズベッロ(日経新春杯)がいるが、ダートグレード勝ちは初めて。初年度産駒にホッカイドウ競馬でフローラルCを勝ったオーブスプリングがいるなど、ディープブリランテの産駒はダートにも適性がありそう。

 冒頭で「前残りの傾向どおりの結果」と書いたが、そうした中でペースや展開に関係なく、自分のレースを貫いて2着に食い込んだのがテーオージーニアス

 スタートでダッシュがつかないのはいつものこと。内枠ゆえ、一旦下げて外に出してというのは想定していただろう。それでも前残りの馬場を考えてか、直線勝負ではなく、ペースが落ち着いた向正面中間から徐々に位置取りを上げていった。4コーナーでは、すでに一杯だったデュープロセス以外の先行3頭での決着かにも思えたが、2番手を争っていた2頭をとらえた。この馬場で唯一上り37秒台は、持ち味を存分に発揮した。

 連覇を狙ったサクセスエナジーは2番手を追走し、直線でテーオージーニアスに交わされての3着。厳しいペースで逃げた勝ち馬の行き脚が最後まで衰えず、しかも2kg重い58kgでは仕方ない。

 11歳のサクラレグナムは、4コーナーから直線を向いたあたりではあわや2着かという場面があっての4着。さすがにゴール前では脚が上がっていた。大外枠からのスタートでも1〜2コーナーで徐々に内に進路をとり、4コーナーで最内を突いたのは、おそらく内が使える馬場をわかっての好騎乗だった。

 中央5頭が差のない人気ながら1番人気に支持されたワンダーリーデルは、内目に入れてサクラレグナムのうしろを追走したが、向正面から追い通しとなって見せ場をつくれず5着。3番手を追走したデュープロセスは力んで走っているようでリズムがまったく悪かった。

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