迷いのない騎乗で勝利に導いたヒューイットソン騎手(撮影:下野雄規)
今年で69回目を迎えたスプリングステークスは、ナリタブライアンが制した1994年以来の出走馬10頭という少頭数となった。
アオイクレアトールがハナを切り、エン、シルバーエースらがつづき、正面スタンド前を抜けて行く。
ライル・ヒューイットソンのガロアクリークは5番手の外目につけた。
「メンバーは強かったが、追い切りの動きがよかったので、いいフィーリングで、自信を持って乗ることができました」とヒューイットソン。
1、2コーナーを回りながら、1番人気のヴェルトライゼンデがガロアクリークを内からじわっとかわし、5番手で向正面へ。
先頭からヴェルトライゼンデまでは5馬身ほど。その2馬身ほど後ろでガロアクリークは折り合っている。
向正面なかほどで、後方に控えていたミルコ・デムーロのファルコニアが外から一気に進出し、先行馬に取りついた。
前半800m通過が50秒5、1000m通過は1分3秒2。
道中で動いたデムーロも、サクセッションの三浦皇成も、そしてヒューイットソンも「流れが遅かった」と口を揃えるスローだった。
3、4コーナーで馬群が一気に凝縮され、外からサクセッションがマクるように上がっていく。遅れまいと、その内に併せてガロアクリークもスパートをかける。
6頭が雁行状にひろがり、直線へ。
そのなかから抜け出したのは、外から2頭目のガロアクリークだった。内からヴェルトライゼンデが盛り返してきたが、これを1馬身1/4突き放してフィニッシュ。デビュー4戦目で重賞初勝利を挙げた。
「距離は2000mまでが限界だと思いますが、次も、能力でカバーしてくれると信じています」とヒューイットソン。4コーナーで引かずに上がっていく迷いのない騎乗でJRA重賞初制覇を遂げた。
ガロアクリークは、3代母が仏GIサンタラリ賞、4代母が凱旋門賞の勝ち馬で、近親にブリーダーズカップ・マイルを3連覇したゴルディコヴァがいる良血だ。
皐月賞のみならず、マイル戦線でも活躍が期待できる新星が現れた。
(文:島田明宏)