2戦2勝のレッチェバロックが好スタートからハナに立った。
大外16番枠から出たもう1頭の2戦2勝馬カフェファラオも速いスタートを切った。すんなり好位につけ、鞍上のダミアン・レーンに促されながらポジションを上げ、レッチェバロックを1馬身半ほど前に見る2番手で3コーナーに入った。
最内枠から出たミルコ・デムーロのデュードヴァンもまずまずのスタートを切ったのだが、流れが速いと見たのか、デムーロは手綱を抑えて後方に待機した。
稍重の馬場状態で、前半800mは46秒1、後半800mは48秒8。重馬場でワイドファラオが逃げ切った昨年は45秒8-49秒7。同じく重馬場でルヴァンスレーヴが差し切った一昨年は47秒1-47秒9。良馬場でサンライズノヴァが完勝した2017年は46秒4-49秒5。
数字と、15馬身ほどの縦長になった馬群が示すように、今年のユニコーンステークスも淀みのない流れになった。
レッチェバロックが先頭のまま直線に入った。鞍上のクリストフ・ルメールは手綱を持ったままだ。
同じく抜群の手応えのカフェファラオが、その外に並びかけた。田中勝春のフルフラットが気合をつけながら、これら2頭の外に併せてきた。
ラスト400m。内のレッチェバロック、真ん中のカフェファラオ、外のフルフラットが後ろを離して並走している。
まず、フルフラットの田中が左鞭を入れた。次に、レッチェバロックのルメールの手の動きが激しくなった。
追い出しを待っていたレーンは、ラスト300m付近でようやくゴーサインを出した。大きなアクションで手綱をしごき、右ステッキを入れると、見る見る後ろとの差をひろげていく。
最後の5完歩ほどは流すようにして、先頭でゴールを駆け抜けた。
5馬身差の2着は、後方から追い上げたデュードヴァン。さらに1馬身3/4遅れた3着にケンシンコウが追い込んできた。
逃げたレッチェバロックは9着に終わった。
カフェファラオはそれを楽に追いかけ、レースレコード(第5回まではダート1800m)の1分34秒9で圧勝したのだから、桁違いの強さだ。無敗馬がこのレースを制したのは、これが初めてのこと。
ダート界にとてつもないスケールの大物が現れた。
(文:島田明宏)