5馬身差の圧勝で2歳ダート王の座に輝いたアランバローズ(撮影:高橋正和)
一戦ごとに力をつけてきた船橋のアランバローズが、初めて中央馬との対戦となるJpnIの舞台でさらなる強さを見せ5馬身差圧勝。やや離れたオッズで1、2番人気に支持された中央・地方の無敗馬は、明暗が分かれる結果となった。
外めの枠に入ったアランバローズは、前走ハイセイコー記念でなんとか2番手で我慢させる競馬を経験していたので、内枠のデュアリストが行くならその2番手でもと考えていたようだ。しかしデュアリストのスタートがいまいちだったことで、抜群のスタート切ったアランバローズは100m過ぎ、最初の4コーナーに差し掛かったあたりで早くも他馬を従える形になった。鞍上が左海誠二騎手であればこそ、これはもう行くしかない。
逃げたアランバローズの最初の3F通過が36秒2で、2コーナーを回るあたりの4F目では13秒3と一旦ラップを落とした。しかし残り半マイルを過ぎた5F目で11秒8と一気にペースアップ。これこそ左海誠二騎手の真骨頂。逃げていながら早めに勝負を仕掛けた。そのぶん上りは39秒4とかかったが、2着以下では中団から位置取りを上げて4着だったタイセイアゲインの39秒9があるだけで、ほかはみな上り40秒以上。その結果が、2着ランリョウオーに5馬身、3着ルーチェドーロにはさらに3馬身という差をつけた。
アランバローズは、前走初距離だった1600mのハイセイコー記念で「距離に不安があった」(左海騎手)と話していたが、そこで我慢を覚えさせたことで確実に進化していた。今回同じ1600mで単騎で逃げても、距離の不安を感じさせない強さを見せた。良馬場で1分40秒7という勝ちタイムも速い。過去10年で1分40秒台は2013年のハッピースプリント(1分40秒4)だけで、そのときは雨の稍重だったから、近年最速の勝ちタイムと言ってもいいだろう。
一方で7着に敗れたデュアリストは、スタートからして不運だった。外のほうでゲートの中で立ち上がる馬がいて、それを気にしたのかどうか、ゲートの中でバタバタしているときにゲートが開いて出負けしてしまった。アランバローズに前に入られ、さらにランリョウオーにも外から来られたあたりで頭を上げて折り合いを欠くような場面があった。
前走兵庫ジュニアグランプリでは、初めての地方の小回りコースをまったく問題なくこなしたデュアリストだったが、内で揉まれる競馬は初めてでリズムを崩してしまった。ルーチェドーロとほぼ並走する形で4コーナーを回ったが、直線を向いて反応がなかった。
2着のランリョウオーは、前走ハイセイコー記念では中団追走からゴール前で唯一アランバローズに食い下がったが、今回はスタートから位置を取りに行く積極的なレースぶりで新たな一面を見せた。2走前、1800mのJBC2歳優駿チャレンジを大差で勝っていたこともあり、今後は距離延びての期待となりそうだ。
中央馬3頭の3着争いは接戦となったが、3番手を追走したルーチェドーロが先着し、結果的に1〜3着は差がついたものの行ったままの決着となった。JBC2歳優駿ではハイペースの先行争いで10着に沈んだが、兵庫ジュニアグランプリでは中団を追走して4着。今回は3番手で折り合って脚を溜めたが、勝負どころでのペースアップに対応できなかった。その2戦とも勝ち馬から1秒8という差をつけられているだけに評価は難しい。
中団を進んだタイセイアゲイン、バクシンは、3着のルーチェドーロに迫ったまでで、見せ場をつくれなかった。
ゲート内で何度も立ち上がっていたのはアイバンホー。JBC2歳優駿を制したラッキードリームはその隣の枠でテンションが上ってしまい、やはりゲート内で立ち上がる場面があった。ラッキードリームの10着は、能力を発揮できなかったと考えるべきかもしれない。