2歳重賞を予想するにあたって拠り所となるのは、他でもない世代最初の重賞、栄冠賞である。出走すること自体が登龍門であるこの重賞からは、今年も活躍馬が続々と輩出されている。4着だったシャルフジンがブリーダーズゴールドジュニアCを快勝すると、5着だったリコーヴィクターはサッポロクラシックCをレコードで制した。下位入線した馬の多くも当然のように巻き返しており、最下位だったカクテルライトも、岩手に移籍してわずか2戦で重賞ウィナーとなった。
今回のイノセントカップには、そんな超ハイレベルだった栄冠賞の2着馬、3着馬が登場する。その2頭、プライルード・レディーアーサーを中心視すべきなのは当然である。
両者のどちらを上に取るか、この判断は難しい。どちらも田中淳司厩舎の馬であり、キャリアやローテーションにほぼ差異がなく、栄冠賞も同タイムでの入線である。違いが見られるのはレースパターンのみ。これもあくまで現時点での傾向に過ぎないが、プライルードは気持ちが前に出る先行タイプ、一方のレディーアーサーは道中でタメを作って末脚を生かすタイプである。少頭数で淡々とした流れが想定されることを踏まえ、筆者は前者にアドバンテージがあると見た。
実績で抜きん出る上記2頭にも、隙がないわけではない。栄冠賞から3ヶ月近くレース間隔がひらいている点である。これが最後のひと踏ん張りや、あるいは追われてからの瞬間的な反応に影響を及ぼすケースは考えられる。そこで穴馬として浮上するのがエイシンシュトルムだ。1200mで初勝利をあげた4走前の内容は、重賞級と言って差し支えない。気性的な難しさが躍進を妨げているが、当時は逃げを打っての圧勝であり、今回その戦法を取れるようなら、近走以上のパフォーマンスを発揮する可能性がある。
以下は、重賞こそ初出走でもキャリアは豊富なクラサーベル、不振続きだが栄冠賞出走歴のあるバウチェイサーなど、一長一短のメンバー構成だ。
(文:競馬ブック・板垣祐介)