京都競馬場改修工事の影響で、昨年に続き今年も中京芝1200mで行われるセントウルステークス。中京の芝1200mコースと言えばGI・高松宮記念と同一のコースであり、その高松宮記念でのレースぶりが考察の要になってくるものと思います。
今年3月、同コースGI・高松宮記念の2着馬レシステンシア。この馬がここで強い勝ち方を見せるようなら、本番のスプリンターズSが大いに盛り上がることになりますね。その高松宮記念ははじめての1200m戦、シッカリと控える競馬で結果を出せたという点でも収穫があったのですが、荒れた重馬場で直線内側を通った馬が苦しむ中、走りやすい大外を通って馬混みに揉まれずの2着。
流れに沿って恵まれた部分もないとは言えず、抜け出すときの脚にしても勝ったダノンスマッシュとは明確な差がありました。これはある意味スピード不足。この距離では、自分のペースで押しきれる1400mほどの信頼感はないということかもしれません。
次にカレンモエは、ここまで11度走って一度も大崩れなし、重賞クラスに入っても3走連続2着と抜群の安定感を誇る馬。首の高い走法は間違いなくスプリント向き、10年ほど前にスプリント界を席巻したカレンチャンの娘ということで、血統的な期待も大きい一頭でしょう。
しかし前走もそうだったのですが、好スタートから控えて抜群の手応えで4コーナーを回るも、その手応えの割には伸びきれず2着という競馬内容が続いています。物足りないと言えば物足りない。一度使うたびに疲れが出てしまうタイプですが、間隔を詰めて使えていたときは2戦2勝。仮にここを好走した上で中2週空けてスプリンターズSに使えるようなら、それこそが狙い目になるのかも。
そして、オールアットワンスのアイビスSD勝ちを皮切りに、ヨカヨカの北九州記念勝ち、レイハリアのキーンランドカップ勝ちなど、この夏スプリント重賞を席巻している3歳勢。それらはいずれも3歳牝馬なのですが、3歳牡馬のピクシーナイトもCBC賞2着の実績があり、そういった意味ではすでに通用の目途が立っている馬です。
別定戦・3歳馬の斤量は月ごとに細かく設定されており、短距離路線は9月アタマから負担重量が1kg増えるのですが、ラップ傾向的には小倉芝1200mよりも中京芝1200mに向きそうな馬。ここでも通用の余地はあると思います。
レシステンシアが(同コース)高松宮記念2着馬なら、クリノガウディーは前年の高松宮記念1位入線馬(進路妨害により4着降着)。グランアレグリアの末脚を封じての1位入線と言えば、さらに価値があるように感じるかもしれません。
その後は長らく不振が続いていたのですが、ここに来てオープン特別を2連勝。レース内容やラップを見ても割と破格と言えるもので、穴馬以上の存在と言っても差し支えのないところでしょう。
ラウダシオンは2歳時から高く評価していた馬であり、さらに3歳・クロッカスS勝ちのスーパーラップから、GI・NHKマイルカップでもレシステンシアを差し置いての本命へ抜擢することになりました(単勝29.6倍1着)。
リアルインパクトの産駒だからか、デビューから一貫して短距離路線を使われているのですが、ラップ的には1200mよりも長めの距離をユッタリと走るほうが向いている馬だと信じて疑いません。NHKマイルカップでレシステンシアを下せた要因もそこにあるからです。
ジャンダルムは芝1600mでのデビューから2400mまで距離を延ばし続け、ダービーが終わると一転して短距離路線、徐々に距離を短くして今度は1200mが主戦場となりつつある馬。
言い方は良くないかもしれませんが、目隠し、手探りのまま6歳秋まで来てしまった印象ですね。苦労して手に入れた1200mの距離は悪くないと思います。ただし、良くも悪くも自分の力量分で済ませてしまう馬。格上を気力で捻じ伏せるような形は望みづらいはずです。
最後にタイセイビジョン。昨年のNHKマイルカップ予想時に「能力上位ではあれど、早々に1200m路線へ行くべき」と評したタイセイビジョン(2番人気4着)。同レースの1番人気はレシステンシア、勝ち馬はラウダシオンでした。
前走、4歳の夏になってようやく1200m路線に行き着いたのですが、結果的には後方から差しての4着止まり。しかし終始流れに乗れず、直線では前をカットされて完全に手綱を引く致命的な不利がありながら、それでも勝ち馬とは1馬身ちょっとの差。やはり距離は向いており走ります。これは今回、大穴候補として強く推奨したい1頭ということに。
(文/岡村信将)