重賞2勝目を挙げたザダル(c)netkeiba.com
バスラットレオンがハナを切り、差なく
サトノフェイバーがつづく。向正面で馬群は15馬身ほどの縦長になった。テン乗りの松山弘平が騎乗する
ザダルは、先頭から10馬身ほど離れた後方に控えた。
「思っていたより後ろになりましたが、それでも馬がしっかり対応してくれました。すごくいい脚を使うイメージがあったので、しっかり脚を溜めて、持ち味を引き出そうと思っていました」と松山。
3コーナー手前で馬群が一気に縮まり、
ザダルの前を塞ぐ馬群の壁の密度も増した。それでも松山は動かず、仕掛けのタイミングをはかりながら直線に向いた。
ラスト400m付近で、前の
ダイアトニックが内に進路を取ったことにより、
ザダルの正面がひらけた。さらに前にいた
ヴィジュネルが外に行ったことで、引きつづき十分な進路が得られた。
ラスト200m地点で、
ダイワキャグニーが内の
バスラットレオンをかわして先頭に躍り出た。この馬も伸びつづけたがゆえに、後ろにいた
ザダルの通り道がまたもスムーズにひらかれた。
ダイワキャグニーの外に持ち出された
ザダルは、松山の右ステッキを受けて、さらに末脚を伸ばす。
1完歩ごとに
ダイワキャグニーとの差を詰め、並ぶ間もなくかわし、外で食い下がる
カイザーミノルを余裕で振り切り、先頭でゴールを駆け抜けた。
「一瞬の脚はすごくいいものを持っていますね。強かったです」と松山。
57.5Kgを背負っていることなど感じさせぬ鋭さで、2着の
ダイワキャグニーを1馬身突き放し、昨年のエプソムカップ以来となる重賞2勝目をマークした。
ダイワキャグニーは勝ちに行く競馬をしての2着。8歳馬とは思えない活力ある走りを見せた。3着の
カイザーミノルは、好位から満を持して追い出したが、
ザダルに切れ負けした。
騎乗馬の武器を最大限に引き出した松山が、
サウンドキアラで京都金杯を制した一昨年、
ヒシイグアスで中山金杯を勝った昨年につづき、幸先のいいスタートを切った。
(文:島田明宏)