吉田豊騎手と見事な逃げ切りで中山記念を制したパンサラッサ(撮影:小金井邦洋)
8月21日に札幌競馬場で行われる札幌記念(3歳上・GII・芝2000m)。GI馬5頭、重賞馬12頭が揃い、激戦が予想される。このレースで、ドバイターフ(G1)を含む重賞3勝馬パンサラッサ(牡5、栗東・矢作芳人厩舎)が吉田豊騎手とのコンビで勝利を狙う。
パンサラッサは、父ロードカナロア、母ミスペンバリー、母の父モンジューという血統。
パンサラッサの注目ポイントは、なんといってもハイペースな逃げ。父ロードカナロア譲りのスピードと持続力が特徴である。2019年9月に行われた2歳新馬戦でデビュー。3戦目にして未勝利を勝ち上がると、2020年7月のラジオNIKKEI賞2着の成績を始め、芝中距離戦線で堅実な走りを見せるが、勝ちに恵まれていない事が続いていた。しかし、2021年のオクトーバーS(L)の勝利以降、その強さが花開く。
2021年11月の福島記念(GIII)に出走すると、前半600m33.6、1000mは57.3というタイムを記録。4コーナー以降もその勢いは衰えず、抜群の手応えで他馬を突き放し、2着馬に4馬身差をつける圧巻の逃走劇を見せた。観客を驚かせる大胆な戦法で注目を集めると、2022年2月の中山記念(GII)でも、好スタートを切りまたもや1000m57.6の逃げが炸裂する。坂をものともせず駆け上がり、後続を2.1/2馬身振り切って、二つ目の重賞制覇を成し遂げた。
そして、翌月にはドバイワールドカップミーティングの一環であるドバイターフ(首G1)に出走する。初の海外レースでも変わらない逃げのスタイルで先頭に立ち、前年の同レースや2020年のプリンスオブウェールズS(英G1)覇者ロードノースと1着同着。アーモンドアイやヴィブロス、ジャスタウェイといった名馬に続く、当レースの覇者となった。また、広尾レーシングと鞍上の吉田豊騎手に、海外G1初制覇の称号をもたらした。
今までパンサラッサが勝利したレースは、全て2000m以下。また、この札幌記念(GII)は、4戦3勝と息ぴったりな吉田豊騎手とのコンビで出走する。唯一の黒星である今年の宝塚記念(GI)も前半600m33.9、1000m57.6の変わらぬ快速ぶりを披露。まさに「肉を切らせて骨を断つ」戦法が、再び北の大地でも炸裂するのか? パンサラッサに要注目である。