スピードとパワーを兼備した動きをみせるグランヴィノスがデビュー(写真手前、9月22日撮影:井内利彰)
今週から東京、阪神の開催がスタート。初週は3日間開催ということで、新馬戦の番組も多数組まれている。ただ、2歳10月ともなれば、意識したいのは来春のクラシック。そうなると、マイルや中距離でのデビュー馬が気になるところだろう。
昨年は4回阪神1日目の芝2000mでアートハウス(栗東・中内田充正厩舎)が2着に3馬身差をつけて圧勝。今春はオークス出走も7着だったが、前走のローズSを快勝して秋華賞の主役に名乗りを挙げたばかり。この新馬戦で6着だったボルドグフーシュ(栗東・宮本博厩舎)は神戸新聞杯3着で菊花賞への優先出走権を獲得。というわけで、今年も注目のレースとなりそうな予感はある。
【10月8日(土) 阪神芝1600m(牝)】
◆テンノメッセージ(牝、父ルーラーシップ、母チアズメッセージ、栗東・高柳大輔厩舎)
半兄には2016年目黒記念を優勝したクリプトグラム(父キングカメハメハ)や、半姉に芝で5勝を挙げているビオグラフィー(父ロードカナロア)がいる。本馬は2021年セレクトセール1歳にて、2900万円で落札されている。
4月にゲート試験を合格して、ここまで成長を促す形で牧場調整。9月に入って栗東へ入厩してからは順調に追い切りを消化しており、併せ馬では常に先着するという前向きさを見せている。4月段階では「短い距離のデビューになると思います」と話していた高柳大輔調教師だが「前向きさはありますが、コントロールは利きますし、先を見据えてもこの距離でデビュー」という判断になったようだ。
【10月8日(土) 東京芝1600m(牝)】
◆ビヨンドザヴァレー(牝、父イスラボニータ、母リリーオブザヴァレー、栗東・橋口慎介厩舎)
半兄に2016年青葉賞を勝ったヴァンキッシュラン(父ディープインパクト)がおり、セントレオナードやリリーピュアハートといったきょうだいも芝の中距離から長距離で勝ち星を挙げている。
本馬は9月7日のゲート試験を合格した後は栗東に在厩したまま調整。9月22日、9月28日ともにCWで新馬との併せ馬だったが、どちらも先着する動きで、その内容は圧巻。きょうだいは長い距離に適性がある血統なのかも知れないが、この馬はイスラボニータの良質なスピードがうまく伝わったという感じで調教での動きが素晴らしい。あとはレースでどんな走りを見せるか注目したいところ。
【10月9日(日) 東京芝2000m】
◆フリームファクシ(牡、父ルーラーシップ、母ライツェント、栗東・須貝尚介厩舎)
半姉に2019年ナッソーSで海外G1を制したディアドラ(父ハービンジャー)、同厩舎で管理され、今年の若駒Sを勝ったリューベック(父ハービンジャー)がいる。本馬は2021年セレクトセール1歳にて、1億4000万円で落札されている。
4月7日にノーザンFしがらきから栗東へ入厩。ゲート試験を合格後もしばらくは在厩して追い切りを進めていたが、5月には牧場へ戻っていた。9月に入って栗東へ戻ってきており、9月22日にはレースで騎乗予定の川田将雅騎手が跨り、ソダシとの併せ馬。超がつく格上の先輩に鍛えてもらったことで、先週のCWでの3頭併せでは楽に動くことができていた。
【10月10日(月) 阪神芝2000m】
◆グランヴィノス(牡、父キタサンブラック、母ハルーワスウィート、栗東・友道康夫厩舎)
半姉にヴィルシーナとヴィブロス(ともに父ディープインパクト)、半兄にシュヴァルグラン(父ハーツクライ)。3頭とも友道康夫厩舎で管理され、3頭ともGIレースを勝っているという偉大かつ厩舎にゆかりある血統。
本馬は4月13日にゲート試験を合格しており、その後は牧場で調整。9月に入ってから栗東へ再入厩しており、その後は坂路、DP、CWと様々な馬場で追い切りを消化している。9月22日のCWでの併せ馬は時計こそ遅かったものの、非常に力強い動きが目立っていたし、1週前追い切りはCWでの3頭併せで他馬をぶっちぎる動き。調教では、いかにも走るキタサンブラック産駒というスピードとパワーを兼備した動きを見せており、あとは実戦でどうかというところ。
(取材・文:井内利彰)