【京都2歳S】グリューネグリーン逃げ切って重賞初制覇 死んだ兄ヴェルデグリーンの遺志引継ぎクラシック目指す

2022年11月27日 07:00

後続を抑えて逃げ切ったグリューネグリーン

◆第9回京都2歳S・G3(11月26日、阪神競馬場・芝2000メートル、良)

 阪神メインの京都2歳S・G3(芝2000メートル)は、逃げた5番人気のグリューネグリーン(Mデムーロ)が後続の猛追をしのぎ、重賞初勝利を挙げた。ラブリーデイ産駒としても重賞初勝利で、遅咲きだった半兄ヴェルデグリーンのぶんもクラシックを目指していく。

 様々な思いが背中を押した。最後の直線。逃げるグリューネグリーンは左右へふらつきながらも必死に前へ、前へと脚を伸ばした。Mデムーロも左ステッキを入れた後、全身で祈りを込めるように手綱を押す。外から詰め寄るシュタールヴィントスマラグドスは突き放したが、ゴール前では内からトップナイフの強襲。しかし、屈しなかった。馬体を並べるように駆け抜けたゴール板。頭差だけ前に出ていた。

 「自分のリズムなら走れますね。よかったです」と振り返るMデムーロを温かい笑顔で迎えたのは相沢調教師だった。「生まれた瞬間から生き写しかと思うぐらい、そっくりだったんです」。脳裏をよぎったのは自らが手がけ、同じく栗毛で筋肉質な馬体だった兄のヴェルデグリーン。5歳秋のオールカマーで重賞初制覇という遅咲きの花を咲かせながら、6歳だった14年夏にがんで天国へ旅立った。突然訪れた悲しい別れ。8年の時を経て、遺志を引き継ぐように出現した弟への思い入れは誰よりも強い。

 今後は未定だが、兄が無縁だったクラシックロードへ向かう切符はつかんだ。「僕だけ走る、走ると言っていたけど、その通りになったね。精神面が課題になるが、能力はかなりあると思う」とトレーナーはうなずいた。兄のラストランだった宝塚記念は今回と同じ阪神。時空を超えたバトンをつなげ、兄弟の第2章が始まった。(山本 武志)

 ◆グリューネグリーン 父ラブリーデイ、母レディーダービー(父スペシャルウィーク)。美浦・相沢郁厩舎所属の牡2歳。北海道日高町・本間牧場の生産。通算3戦2勝。総獲得賞金は4053万2000円。重賞初制覇。馬主は斎藤光政氏。

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