2006年に創設された芝1400mのGII格付けの定量戦。スプリンター、マイラーにとっては1年の総決算的レースのはずだが、過去10年で1番人気は【1-0-2-7】と不発。その一方で、キンシャサノキセキ、サンカルロ、リアルインパクトなど、いわゆる「リピーター」が多いことでも知られるレースだ。

　昨年は同じ舞台で行われたスワンSの1、2着馬が3、5着で、3着馬ホウオウアマゾンが2着。3歳馬のワン・ツーフィニッシュに目が奪われがちだが、やはり同じ舞台で行われたスワンS組は無視できない。

　◎ダイアトニックはスワンS優勝馬。1400m戦は【7-1-1-0】で、このうち阪神コースは【2-0-1-0】。阪神コースはデビュー戦を飾ったコースで、それを含め【3-0-1-0】。これら一連の成績にある「3着」は2位入線の3着降着。事実上、連対を外していない。前走スワンSは好スタートから好位に控え、最後の直線は早めに抜け出して後続の追撃を封じ込めた。ゲートからダッシュ良く飛び出しながらもすぐに折り合いが付くのが武器。

　高松宮記念も着順から受ける印象ほど大きく負けておらず、スプリンターズSもややペースに戸惑う場面もあったが見せ場を作るなど悪い内容ではなかった。レース後、心身のリフレッシュ目的に短期放牧に出され、ここを目標に調整されてきたローテーションも好感だ。勝って、堂々と豪州へと渡ってほしい。

　〇グレナディアガーズは昨年の優勝馬。朝日杯フューチュリティSに勝ち、1番人気に支持されたNHKマイルカップは、逃げると目されていた馬がスタート直後に落馬。持ったままとはいえ4角では押し出されるように先頭に立つようなポジションになってしまい、最後は力尽きた。京成杯オータムHは3歳馬で56キロを背負わされて3着。マイルチャンピオンシップは半マイル47.6秒という古馬のマイルGIとしてはスローな流れに力んでしまった。なかなか難しいところがある馬だが、全3勝を記録している阪神コースで見直したい。

　▲トゥラヴェスーラはスワンS4着の7歳馬。今春の阪急杯ではダイアトニックにクビ差まで迫る2着で、昨年の京王杯スプリングCも2着。武器は瞬発力。使える脚が短いので直線は長いよりも短いコースに向き、阪神の内回りはぴったりだ。途中、2度にわたる長い休養があるので7歳とはいえキャリアは25戦。高齢まで活躍できるステイゴールド系だけに年齢的な衰えは気にしなくてよさそうだ。もし仮にダイアトニックが早めに抜け出すようなら、この馬の瞬発力は怖い。

　△ルプリュフォールはスワンS3着馬。芝1400mは【3-1-3-5】だが、全12戦中11戦で出走メンバー最速の上りタイムを記録している1400mスペシャリストだ。前走も最後の直線で中を割ることができずに外へ持ち出すロスがあった。スムーズな競馬ができれば侮れない存在だ。

　△ルチェカリーナも芝1400m【2-2-2-0】。秋2戦は見所のある競馬を続けており、まだ伸びしろがありそうだ。

　最後に△カイザーミノルの名前を挙げておきたい。