<中山10R・中山大障害>大生垣を飛越するオジュウチョウサン(左から2頭目)、右手前はニシノデイジー(撮影・郡司 修)
絶対王者がターフを去る歴史的一戦で新王者が誕生。最強ジャンパーを決める「第145回中山大障害」が24日、中山競馬場で行われ、5番人気
ニシノデイジーが初挑戦でJ・G1初勝利。五十嵐雄祐(38)は13年中山大障害、14年中山グランドJを勝った
アポロマーベリック以来のJ・G1制覇となった。
最終障害直後、中山競馬場がどよめいた。
オジュウチョウサンの最後の飛越を見守っていた観衆が視界を広げると、
ニシノデイジーが他の先行勢を振り切り、独走態勢を築いていたからだ。クラシック3冠皆勤、ダービー5着の脚力は衰える気配がない。2着
ゼノヴァースに3馬身差をつける圧勝。オジュウがG1馬になった2日後に生まれた5歳下の新王者が世代交代の旗手となった。
序盤は中団。残り1周を切ってから一気にロングスパートで前に出た。「課題の折り合いがうまくいった。オジュウを見ながら徐々に位置を上げていった」と五十嵐。障害転向わずか4戦目。初の大障害コースも非凡な飛越センスで苦にしなかった。「このメンバーでも引けを取らないと思っていた」と胸を張った。
歓喜の西山茂行オーナーが裏話を明かす。「前走負けて、次はオープン競走でいいかなと思ったが、ジョッキーが“大障害に行かせてください”と。彼の
ファインプレーに感謝ですね」。菊花賞で2番人気に支持されるなど平地G1でも大きな期待を背負ったが、気性難が災いし結果を残せなかった。「厩舎もよく工夫してくれた。涙が出ました。今日の勝ちっぷりを見ると、デイジーの時代が来るんじゃないかな」と6歳にして再開花した愛馬に笑みが絶えなかった。
殊勲の五十嵐は
ヒーローインタビューをこう締めくくった。「オジュウを楽しみに足を運ばれた方が多いと思いますが、皆、力をつけています。これからも障害レースを応援してください」。希代の名ジャンパーが引きつけたファンは、これからもきっと障害競走を愛してくれるはず。
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ニシノデイジー 父
ハービンジャー 母ニシノヒナギク(母の父アグネスタキオン)16年4月18日生まれ 牡6歳 美浦・高木厩舎所属 馬主・西山茂行氏 生産者・北海道浦河町の谷川牧場 戦績24戦5勝(うち障害4戦2勝) 総獲得賞金2億746万4000円(うち障害8296万9000円)。馬名の由来は冠名+
ヒナギクの英語。素敵なものという意味もある。