ダイアトニック(奥)がグレナディアガーズ(手前)との激闘を制した
◆第17回阪神C・G2(12月24日、阪神競馬場・芝1400メートル)
第17回阪神C・G2が24日、阪神・芝1400メートルで行われ、今回がラストランの
ダイアトニックがゴール前で鮮やかに差し返し、重賞5勝目となる有終Vを飾った。
一つに重なった人馬の強い気持ちがほとばしった。「負けたくない!」。岩田康が全身を使い、
ダイアトニックの手綱を押す。外から
グレナディアガーズに一度はかわされたが、左ステッキで闘争心が目覚めたように再加速。「最後の50メートルで感情をグッと出してくれた。それがすごかった」。馬体がぶつかるような叩き合いを鼻差で制したのは、勝利への執念だった。
これで1984年の
グレード制導入以降、自身の持つ芝7ハロン戦の最多勝記録を8に更新。レース直後に「すごい。本当にスペシャリストですよ」と漏らした安田隆調教師は「
ダイアトニックからいいプレゼントをもらい、僕らもいい形で送り出せた。いい
クリスマスです」と笑みを浮かべた。今年2位タイの重賞8勝目となった岩田康は「僕をよみがえらせてくれた馬です」と最大限の賛辞を贈る。今後は豪州で種牡馬入りの予定。寒風吹きつける師走の仁川で温かな記憶を残し、異国の地で新たなスタートを切る。(山本 武志)
ダイアトニック 父
ロードカナロア、母トゥハーモニー(父サンデーサイレンス)。栗東・安田隆行厩舎所属の牡7歳。北海道浦河町・酒井牧場の生産。通算26戦10勝。総獲得賞金は4億6043万4000円。主な勝ち鞍は19、22年スワンS・G2、20年函館スプリントS・G3、22年阪急杯・G3。馬主は(有)シルクレーシング。