桜の舞台で雪辱果たしたハープスター(c)netkeiba.com
クラシックの幕開け飾る一戦として、数々のドラマを生んできた桜花賞(3歳牝・GI・芝1600m)。本稿ではハープスターが勝利した2014年のレースを振り返ってみたい。
ハープスターは父ディープインパクト、母ヒストリックスター、母の父ファルブラヴという血統。祖母は93年に桜花賞、オークスを制した名牝ベガで、伯父にダービー馬アドマイヤベガや芝ダート双方で活躍したアドマイヤドンがいる良血馬だ。
13年7月に新潟競馬場でデビューを迎え白星を飾ると、続く新潟2歳Sで早くも重賞初挑戦。道中は18番手という絶望的ポジションだったが、長い直線を目いっぱいに使って差し切り勝ち。後の皐月賞馬イスラボニータ以下に3馬身を付ける圧勝劇で、一躍クラシック候補に躍り出る。その後は2歳女王を目指して阪神JFに出走したが、先に抜け出したレッドリヴェールにハナ差およばず2着。桜の舞台で雪辱誓い、2歳シーズンを終えた。
■一時は20馬身差も冷静に
前哨戦のチューリップ賞を1.1倍の人気に応えて2馬身半差の圧勝。勝ちっぷりも評価され、桜花賞では単勝1.2倍という圧倒的な支持を集めた。続く2番人気は2歳女王レッドリヴェール。リベンジに燃えるハープスターは大外18番枠からスタートを切った。
ゲートが開くとコーリンベリーなど3頭が飛び出し、激しく競り合う恰好。最終的にハナを奪ったフクノドリームが半マイル45.3という超ハイペースで飛ばし縦長の馬群となるなか、ハープスターは自らの競馬に徹して最後方に構えた。一時は20馬身以上の差がひらいたが、川田騎手は慌てず仕掛けどころをうかがう。
4コーナー過ぎ、各馬が徐々に進出を開始すると、ハープスターは大外に持ち出す。直線は一完歩、また一完歩と差を詰めていくが、残り200m地点でも約10馬身の差。果たして届くのか――。横に広がった馬群の大外から徐々に末脚を伸ばし、残り100m弱でレッドリヴェールが抜け出した瞬間だった。馬体を躍らせ、ハープスターが全てをひと飲み。上がり32.9の豪脚で2歳シーズンの悔しさを晴らした。
直線だけで17頭をごぼう抜きにしたレースぶりは、今でもファンの中で語り草となっている。