「NHKマイルC・G1」(7日、東京)
9番人気の
シャンパンカラーが、直線力強く抜け出してG1初タイトルを奪取。ベテラン内田博のしったに応え、直線のたたき合いを制して3歳マイル王に輝いた。2着は8番人気の
ウンブライル、3着には3番人気の
オオバンブルマイが入り、3連単は26万円超の波乱となった。
騎手の経験値が問われる雨中決戦。ここ一番で52歳の巧腕がうなった。後方追走から直線外に持ち出した9番人気
シャンパンカラーが、内田博に導かれて手応え十分に坂を駆け上がる。こん身の右ステッキを振るい、川田の
ダノンタッチダウン、武豊の
オオバンブルマイを坂上でパス。最後は若武者・横山武駆る
ウンブライルの大外強襲を頭差退け、栄光のゴールへ飛び込んだ。
馬場状態を見極めての騎乗はさすがというほかない。ゲートの出はひと息も「周りに速い馬がいたので、合わせて行く必要はない」と冷静に判断し、勝機をうかがった。思いのほか反応が良過ぎて早々と先頭に躍り出たのは計算外だったが、「最後は詰められたけど、根性で押し切った」とパートナーの健闘をたたえた。
殊勲の鞍上にとっては18年フェブラリーS(
ノンコノユメ)以来となるG1制覇。そして、当レースVは17番人気で制した07年
ピンクカメオ以来だ。当時は公営・大井競馬に所属しており、「JRAに移籍したいという気持ちが大きく芽生えたレース」と明かす。
シャンパンカラーとの出会いは前走ニュージーランドTの調教時。「久々にこういう馬に乗った。“何だ、この馬は?”と。バネがあって力のある馬だと感じた」。大きな手応えとともに臨んだ一戦だった。
勝負服と同じ青白のネクタイで見守った田中剛師は、16年
ロゴタイプ以来のG1制覇。これが今年初勝利という産みの苦しみも相まって興奮気味だ。「出遅れた時は“参ったな”と思いましたが、11番枠で雨も降って、いい所を走れるなと。そこは理想通りでした」と額の汗を拭った。
今後については未定だが、3歳マイル王としてラ
イバルを迎え撃つ立場になる。内田博は「JRAの騎手になり、かけがえのない馬と出会えた。そして、こうしてまた出会えた。僕を乗せてくれたことが本当にありがたい。この馬にはまた称号を獲ってもらいたいです」と期待を込めた。目指すは馬名のごとく“最上級のダイヤモンド”。輝きを取り戻したベテランとともに、さらに磨きを掛けて新たなる戦いへと向かう。